船員の確保・育成

フィリピンに自営商船大学設立

世界最高水準の安全運航を担う、優秀な船員の継続的な育成・確保のために

当社は2018年8月、フィリピンCavite州Dasmariñas市に自営の商船大学「MOL Magsaysay Maritime Academy」を開校しました。フィリピン人船員は当社運航船乗組員の中核を担っており、運航技術が高度化する中、さらなる活躍が期待されています。4年間の徹底した訓練と基礎教育を通じて、即戦力となる優秀な船員を継続的に育成します。現地パートナーのMagsaysay Maritime Corporationとともに毎年約300人の卒業生を雇用する計画です。

商船大学(MOL Magsaysay Maritime Academy)

MOL Magsaysay Maritime Academy Inc.の概要

学校名 MOL Magsaysay Maritime Academy Inc. (MMMA)
建設予定地および規模 フィリピン Cavite州Dasmariñas市Salitran(首都マニラから南に約30km)
敷地面積約:13.2ha、建物延床面積:約30,000m2
学生数 1学年あたり最大300名(航海科150名、機関科150名)
開校 2018年8月
出資比率 商船三井 : 40%
Magsaysay Maritime Corporation : 35%
Magsaysay Institute of Shipping : 25%

フィリピンでの船員教育訓練事業の経緯

1980年代 コンテナ船、原油船にフィリピン人船員配乗開始。MMCからの派遣開始
1993年 MMCと共同で「Magsaysay Institute of Shipping(MIS)」を設立し、職員・部員向け社内研修に加え、新卒職 員候補生への教育開始
1997年 Magsaysay MOL Marineを設立し、自営配乗会社による船員配乗業務開始
2005年 MIS内にMOL Training Center(フィリピン)設置
2007年 自社訓練船“SPIRIT OF MOL”での専属講師と乗組員による訓練航海を開始
(2,200人以上の職員候補生を輩出。2013年に退役)
2009年 Magsaysay MOL Ship Managementを設立し、船舶管理業務開始
2011年 フィリピン政府の推進するAcademe-Industry Linkage Program (AILP)(*1)のもとに「職員候補生プログラム(サードイヤープログラム)」を導入。フィリピン国内の提携商船大学から選抜した3年生を対象にMISでの教育・訓練を実施
2013年 訓練設備や居室を増設した実際の運航船で実践的訓練を実施する職員候補生教育プログラムを開始
2018年 自営商船大学「MOL Magsaysay Maritime Academy」を開校

(*1) Academe-Industry Linkage Program (AILP): 産・学の提携により、学校側は学生の質を向上させ、産業界側はより質の高い学生の雇用を図るフィリピンでの制度。

教育機関としての社会的責任

当社はこれまでも船員の運航技術の習得や乗船前研修等を行うための訓練センターを設立し、船員の訓練に力を入れてきました。

一方、大学であるMMMAの特徴は、船員になる前の学生に対する「教育」から取り組むものです。将来の安全運航を担う当社船員の一員として、様々な船種に応じて業務を遂行するには、船の仕組みや構造なども含めて理解することが重要です。そして、より高度な技術を身に付けるため、物理や化学を主とした一般教養をはじめ、基礎を徹底的に磨きます。MMMAは、運航技術に加え基礎学力や論理的な思考力、そして規律をしっかり身に付けることを通じて、フィリピンの将来を担う人材の育成を行う教育機関となることをめざしています。

即戦力となる船員を養成

実習棟のShip in Campus

MMMAはフィリピンでは初めて、実船を模した実習棟としてShip in Campusを本格的に導入しています。Ship in Campusは従来AILPで行ってきた実習部分を充実させ、外観だけでなく、最新鋭の船舶機器を備え、可能な限り実習設備の配置を実際の船に近づけることで、即戦力養成につながるトレーニングを行えます。そのほか、係船訓練用設備や隣接したプールと合わせて救命艇降下訓練が行える設備なども配置しているのが大きな特徴の一つです。

このようなShip in Campusによるトレーニングに加え、当社が目指す「世界最高水準の安全運航」を確立するために必要な教育を1年生の段階から実施していくことで、当社の安全運航システムや基準を熟知した優秀な船員を育てていきます。そして、優秀な船員たちが長期にわたって、当社の運航船に乗り組み経験を積むことで、安全運航を支えることにつなげていきます。

(A)トラック&フィールド、(B)管理棟、(C)学生寮、(D)実習棟、(E)教育棟

優秀な船員を世界規模で育成

安全運航維持に必要な船員を育成するため、世界各地で船員研修所を運営し、座学による理論学習から、実機・各種シミュレーターを利用した実習訓練まで、多様な訓練を実施しています。

船員教育・訓練の詳細は、当社サービスサイトにてご紹介しております。

海技教育・訓練サービスサイト


運航船での実践的な訓練(新人船員教育プログラム)

即戦力となる職員を育成するため、実際の運航船を訓練船とするプログラム「Cadet Actual Deployment for Education with Tutorial(CADET Training)」を実施しています。実際の運航船に専属のインストラクターとキャデットが乗船し、運航実務を生で体験できる環境下、少人数によるきめ細かな指導を行い、当社が要求する海技知識、安全に対する理念・精神を伝承することを目指します。キャデットと乗組員間の交流を通して、キャデットは自分の将来像を具体的にイメージできると同時に、乗組員は将来ともに安全運航を担う仲間として親身に指導する相乗効果を発揮しています。


当社独自の船員教育・訓練のプログラムを導入- MOL Rank Skill Training & Evaluation Program -

乗組員の職位ごとに必要とされる知識や技能に関する要件を定めた教育・訓練プログラム「MOL Rank Skill Training & Evaluation Program(MOL RankSTEP)」を整備し、昇進の要件の一つとして当社グループ船員全員に提供しています。この当社独自のプログラムの有効性が認められ、2012年にタンカー部門とLNG船部門において、ノルウェー船級協会(DNV)より教育プログラムを継続的に改善していく管理システム(CMS)に適合する認証を受けました。