クリーンエネルギーの導入・普及

日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」

当社と、当社のグループ会社である株式会社商船三井さんふらわあは、2023年1月「さんふらわあ くれない」と2023年4月「さんふらわあ むらさき」に相次いで、日本初のLNG燃料フェリーを就航させました。また、2025年に更に2隻のLNG燃料フェリーを就航させる予定です。

これらのLNG燃料フェリーは、2009年に当社が掲げた、次世代船シリーズ~第二弾 フェリー「ISHIN-Ⅱ」~の中で、LNG燃料の利用による環境負荷低減や、モーダルシフトによる物流のGHG排出削減などを目指して構想を示し、技術開発を始めたもののひとつで、2016年に新たに立ち上げた技術開発プロジェクト、「船舶維新NEXT~MOL SMART SHIP PROJECT~」の中で更に具体的に技術開発を進め、実現させたものです。

さんふらわあ くれない
さんふらわあ むらさき

アンモニア燃料船の建造に向けた共同開発

当社は、アンモニアを燃料として使用できる主機関を搭載した貨物輸送船の建造に向け、関係企業と複数の船型の基本設計を開発しています。既に、中型液化ガス運搬船と21万重量トン型ばら積み船の設計で基本設計承認(AiP)を取得しました。

アンモニアは、次世代のクリーン燃料として期待されていますが、可燃性・毒性・腐食性などの特性に対して、十分な安全性を確保する必要があります。そこで、アンモニアを舶用燃料として使用する際の安全性について多角的な視点からリスク評価を行い基本設計に反映させる取り組みを進めています。また、舶用燃料として使用する際の規則作りにも積極的に参加しています。

中型液化ガス運搬船
21万重量トン型ばら積み船完成予想図

アンモニアFSRU(※)の概念設計

手前がアンモニアFSRU

当社では、次世代燃料として注目されるアンモニア燃料の普及を後押しすることを目指して、アンモニアFSRUの開発を進めています。アンモニアFSRUは、アンモニアの貯蔵と再ガス化設備を備えた海上浮体設備で、海上輸送で運ばれてきたアンモニアを受け入れるインフラを早期に構築することができます。

当社は、アンモニアの輸送需要の増加に応えるべく、大型アンモニア輸送船を開発し、高品質で安定的なクリーンエネルギー輸送の提供を目指しています。アンモニアFSRUによって更にこのサプライチェーンを伸ばし、アンモニアによるクリーンエネルギー供給を支えることを目指しています。

(※) FSRUは、Floating Storage and Regasification Unitの略で、従来当社が取り組んできたものは、海上輸送された液化天然ガス(LNG)を洋上で受け入れて貯蔵し、船の上で再ガス化し陸上へ送出する機能を有した浮体設備です。陸上に貯蔵タンクや再ガス化設備を建設する場合と比較して、工期が短くコストが安いという特徴があります。当社は、これまで取り組んできたこれらの技術をアンモニアの受け入れ設備に応用することで、アンモニア燃料サプライチェーンの早期構築に寄与できると考えています。

(※) アンモニアは、これまでは肥料原料として主に利用され、海上輸送量も限定的でしたが、再生エネルギー由来の水素の効率の良い運搬方法として、また、燃焼時に二酸化炭素を排出しないクリーンな燃料としても注目されており、今後大規模な需要の増加が見込まれています。


「液化CO2輸送船」、「アンモニア・液化CO2兼用輸送船」の概念設計

当社では、様々な液化CO2輸送船のコンセプトの開発を進めています。

その中でも、「アンモニア・液化CO2兼用輸送船」のコンセプトは、将来的な液化CO2とアンモニアの輸送需要の両方に柔軟に対応できる輸送船のコンセプトとして開発されたものです。

当社は、開発した「液化CO2輸送船」や「アンモニア・液化CO2兼用輸送船」のコンセプトをベースに、低・脱炭素社会を実現するCCUSバリューチェーン全体を踏まえた顧客ニーズに柔軟に対応すべく、様々な船型の開発に取り組んでいます。

(※) 液化CO2輸送船は、低・脱炭素社会を実現する手段の一つとして注目されているCCUS(Carbon dioxide Capture Utilization and Storage)のバリューチェーンの中で、回収し液化したCO2を貯留地、もしくは有効利用地へ効率的に輸送する手段の一つとして重要な役割を担います。

大型液化CO2輸送船イメージ図
アンモニア・液化CO2兼用輸送船イメージ図

舶用水素燃料エンジンの実船実証

水素燃料多目的船完成予想図

当社は、(株)ジャパンエンジンコーポレーションが世界に先駆けて開発する、舶用低速2ストローク水素燃料エンジンの開発(※)に協力しています。当社及び商船三井ドライバルク(株)が運航する船に(株)ジャパンエンジンコーポレーションが開発した水素燃料エンジンを搭載し、実船実証を行います。

水素燃料は、陸上プラントや産業機械・自動車など様々な産業で活用が検討されており、海上輸送の分野でも環境負荷低減に向けた次世代燃料の選択肢の一つとして着目されています。

(※) (株)ジャパンエンジンコーポレーションは、川崎重工業(株)、ヤンマーパワーテクノロジー(株)とともに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業に採択され、外航・内航大型船用の推進用主機関としては世界初となる水素燃料エンジンの開発を行っています。


ウインドハンタープロジェクト

ウインドハンターコンセプト図

ウインドハンタープロジェクトは、当社が進めるウインドチャレンジャープロジェクトを発展させた、ゼロエミッション船コンセプトの研究プロジェクトです。

ウインドハンターのコンセプトは、多数のウインドチャレンジャー型帆を船上に搭載し、化石燃料を必要とせず、風の力で航行します。また、船が風の力で進む際に水中タービンを回して発電し、その電気で海水から得た水を電気分解して水素を生産、船上に貯蔵します。

現在、原理の実証と大型化に向けた船舶及び要素技術の検討を進めており、将来の大型船での実証を目指して研究を行っています。