船長、航海士を対象としたBRM(Bridge Resource Management)訓練と、機関長、機関士を対象とするERM(Engine Resource Management)訓練は、商船三井の安全運航を支える大きな柱として位置付けられる訓練です。操船技術や機器の操作方法等、技術的知識・技能のみならず、リソース(資源:人、 機器、情報等)を最大限活用し、コミュニケーションをとりながらチームワークで安全運航(事故の芽を摘む、仮に発生しても拡大させない)を達成する事を目的としています。
BRM訓練・ERM訓練はともにIMOモデルコースに適合していることを日本海事協会(Class NK)から認証されており、商船三井グループ以外の会社に所属する船員にも門戸を開いております。当社はこの訓練を世界各地にある船員研修所にも展開し、船員に定期的に受講させています。
実際の環境(機関室・制御室)を再現した機関シミュレータ
ベテランの船長・機関長経験者が航海中の船に乗り込んで、動いている現場でしかわからない不安全行動や潜在危険を見つけ出し、その場で改善指導するものです。ニアミスや良い取り組み事例などの情報も各船に展開し、現場における危険に対する感度を高め、ヒューマンエラーの防止に役立てています。
造船所やデザイン会社などのパートナーと連携し、船員のウェルビーイングを実現するための居住区コンセプトを策定しています。
衛生、プライバシー、快適性、健康、利便性の点で、船内生活を改善し、ストレスフリーな環境を整備します。また、新たに船上のサードプレイスとして「IKOI」を設け、一人一人が活き活きと働ける、より魅力的で働き甲斐のある環境を実現します。「IKOI」は職位の概念や仕事から切り離された空間(誰でも使えて、癒しとなるためのスペース)、誰もがそれぞれの活動をそれぞれのスタイルで楽しめる空間として位置付けています。
IKOI採用例
当社およびインハウス船舶管理会社が発信する各種出状を船員に共有するため、情報共有基盤アプリ(ITSUMO)を開発しました。
船員がITSUMOを利用することにより、乗船中のみならず、休暇中においてもタイムリーに注意喚起などの出状を確認することができるようになりました。ITUSMOの利用拡大を通じて、出状の浸透度をより一層高め、船上における事故の撲滅を目指しています。
操船場所である船橋は統合型とすることを当社標準で規定しました。統合船橋は、航海計器類を中央部の一箇所にまとめることにより、当直者の操船位置を明確化し、かつ当直者の動線を確保できます。また、一般的な航海計器配置に比べ刻々と変化する周囲の状況をより迅速に入手でき、安全な操船意思決定ができます。統合船橋配置により以下の効果が期待できます。
(*) BRM:Bridge Resource Management。
ブリッジチームマネジメント(Bridge Team Management)とも言う。人間のミスを未然に防ぎ、あるいは起こったミスからの影響を早期に断ち切るため、船橋(ブリッジ)において、人材(船長、航海士および甲板員等の乗組員)および情報等の資源(resource)を最大限に利用しようとする考え方。