MOL CREW

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いい船をつくることは、
いいチームをつくることからはじまる。

世界中で働くMOLの人たちを紹介する「MOL CREW」。
今回は韓国でLNG船の建造プロジェクトを統括する
サイトマネージャーのストーリーです。

Profile / プロフィール

Name / 名前

Julian Storie
ジュリアン・ストーリー

Birthplace / 出身

Scotland
スコットランド

Affiliation / 所属

MOL ShipTech
MOLシップテック

Profession / 職業

Site Manager
現場監督

ジュリアンさんはスコットランド出身。
エンジニアとして長年にわたり造船に関わってきました。
現在はMOLシップテックに所属。
韓国の巨済島にある
ハンファオーシャンの造船所に駐在し、
LNGを運ぶための新造船を建造中です。

船の品質や安全性、スケジュールを管理する。

造船を仕事に選んだきっかけは何ですか?

大学を卒業してからエンジニアとして働き始めましたが、最初は造船に関わるとは思っていませんでした。キャリアの初期に石油やガスを扱うエネルギー企業で働いていたとき、船の安全性の課題に取り組んだことがきっかけで、船舶建造に興味を持つようになったのです。その後日本の造船会社に出向。実際に船舶建造の現場に身を置いてキャリアを積む中でこの分野に魅了され、MOLに加わることになりました。もともとスコットランド出身で海から10分のところに住んでいたこともあり、海と関わる仕事は自分にとって自然なことに感じます。その後は日本をはじめ中国、韓国でも経験を積み、現在は韓国の巨済島にあるハンファオーシャンの造船所に駐在。LNG船の建造プロジェクトを担当しています。サイトマネージャーとして、船の品質や安全性、スケジュールをしっかり管理するのが私の役目です。

プロジェクト全体を俯瞰し、問題を解決する。

造船所での1日はどのようなものですか?

通常は朝7時半に出社して、まずはその日の建造状況を確認することからはじまります。8時には各領域の担当者とミーティングを行い、進捗や安全性、品質、スケジュールの問題がないかをチェックしていきます。サイトマネージャーとは、プロジェクト全体の管理と調整が仕事。いつも現場にいるわけではなくて、ふだんはオフィスで仕事をしています。つまり私が現場に出て行くのは、何かしら複雑な問題が発生したときです。とはいってもオフィスは現場の目の前ですから、いつでも対応できるようになっていますけどね。

LNG船には、エンジニアリングのすべてがある。

LNG船の建造で難しいのはどんなところですか?

LNG船の造船は、本当にエキサイティングです。材料や化学、流体力学の基本原理まで、エンジニアリングのすべてを実践できる領域です。最先端の技術を使って環境への影響を最小限に抑える取り組みもできるので、非常にやりがいがあります。一方で、さまざまな技術が関係しているために複雑で難しい問題にも対処しなければなりません。例えばポンプの容量が設計通りに満たされない場合や、塗装に関する品質問題などがあります。これらはプロジェクト全体に影響を及ぼす可能性があるため、細心の注意を払って対応する必要があります。いずれにしても常に最優先事項は安全性です。建造のプロセス全体で安全チェックを行い、特に最後のコミッショニング段階では、すべてのシステムが正しく機能するかを確認します。また、コーディネーターを配置し、安全性が確保されているかどうかを徹底的に監視します。課題が完全にクリアされるまで、私たちは一切の妥協を許しません。

文化や意識の違いを乗り越えてチームをつくる。

職場の仲間とはどのような存在ですか?

私はサイトマネージャーとしてチームを選ぶ立場なので、仲間たちのスキルや人柄をよく理解しています。船が完成するまで長期間にわたってともに働くことになるので、お互いをよく知ることが大事です。私にとって彼らはただの同僚ではなく、時には家族のような存在です。
大きなチームで動く仕事ですから、やはり全員の意識を合わせることが大切だと思います。かつて中国でのLNG船建造プロジェクトに関わったときは、現場の人たちが複雑な設計に慣れておらず苦労したことがありました。それでも何ヶ月もトレーニングを行い、安全基準を満たすために努力しました。文化や意識の違いもありましたが、チーム全員が基準をクリアできるようにサポートすることで乗り越えられたのは貴重な経験でした。

自然の中でリフレッシュできる時間は大切。

韓国での生活はいかがですか?

韓国での生活は非常に充実しています。巨済島は造船のメッカですが、造船所の近くには素晴らしい山々があるので週末にはハイキングを楽しんだりしています。登りはじめはちょっとハードですが、頂上に登ると涼しくて気持ちいいですし、そこから眺める海もいいものです。自然の中でリフレッシュできる時間を大切にしています。また、駐在員同士で集まって食事をすることも多いですね。アメリカだったり、南米だったり、ヨーロッパだったり、ここではさまざまな人たちが働いているんです。次の週末は何をしようかとみんなで企画を考えたり。国際色豊かな環境での生活を楽しんでいます。

苦労した船ほど、愛着が湧く。

最もやりがいを感じる瞬間はいつですか?

やりがいを感じるのは、やはり船が無事に完成した瞬間ですね。設計から建造まで長いプロセスを経てきていますから、すべてのステージをクリアして船を納品できた時の達成感は格別です。クオリティの高い船を海に送り出すことは海の上での安全を守ることでもあり、それは大きな誇りです。私は船員ではありませんが、最終工程ではパフォーマンスをテストするために2週間から4週間ほど船に乗り込みます。もちろん緊張感を持って臨みますが、クオリティに満足したときは最後にチームのみんなとビールでも飲みたい気分になります。テストが終わればいよいよその船とはお別れですが、自分の手がけた船には愛着は湧きますね。苦労した船は特に。推しの船はこっそりトラッキングして追いかける事もありますよ。どの船かは秘密です(笑)

自分の仕事に、つねに誠実でありたい。

これからの夢と、世界で働く仲間たちへのメッセージを。

MOLの一員として働けることをとても誇らしく感じています。いまは海外で仕事をしていますが、離れていても本社からの力強いサポートがあります。その大きな支えがあるからこそプロジェクトに集中して取り組むことができています。私はつねづね技術者として自分の仕事に誠実でありたいと思っていますし、MOLの仲間に対しても同じように誠実であってほしい。ひとりひとりがそれぞれの持ち場で誠実にチャレンジすることで、安全が実現できると思っています。さらに業界は常に変化しており、特に環境面での要求が高まっています。これから2030年に向けて、さらに進化した船を造りたいと考えています。あと、個人的な目標としては、ゴルフで80を切ることをめざしたいですね(笑)