海の安全を支えるために、
陸から船を見守る。
世界中で働くMOLの人たちを紹介する「MOL CREW」。
今回は、機関士を経て船舶管理会社で
船の安全・安心を支えるマネージャーのストーリーです。
Profile / プロフィール
- Name / 名前
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Pradeep Karkada Ganesh
プラディープ・カルカダ・ガネーシュ - Birthplace / 出身
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India
インド - Affiliation / 所属
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MOL Ship Management
MOLシップマネージメント

- Profession / 職業
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Deputy Manager
副マネージャー
プラディープ・カルカダ・ガネーシュさんは、
インドのマンガルール出身。
2005年に機関士としてのキャリアをスタートし、
15年以上にわたる乗船経験を積んだのち
船舶管理会社MOLシップマネージメントの副マネージャーに。
シンガポールのオフィスから船の安全を守っています。

水平線の向こうに夢を見た少年時代。


現在の仕事につくきっかけを教えてください。
インドの港湾都市マンガルールで育ちました。造船所やビーチに囲まれていたこの街では、海がいつも身近にありました。小さいころ、水平線の向こうに見える船を眺めながら、「この船はどうやって動いているんだろう? 中ではどんな人たちが働いているんだろう?」と、想像を巡らせたものです。その好奇心が、やがて大学で海洋工学を学ぶ決意へとつながりました。船上でのキャリアを重ねて役職が上がるにつれて、私は「船を動かす」という技術に加えて、「船を支える」マネジメントの重要性に気づくようになりました。15年の船上経験を経て、いまはシンガポールのオフィスから船舶管理業務を行っています。
データを読み解き、海の安全を守る。
あなたの一日について教えてください。
私の一日は、船から届いた報告書やメールを確認したり、「FOCUS(Fleet Optimal Control Unified System)」で船の運航データや機器の状態を分析することからはじまります。FOCUSは、船舶から収集される膨大なセンサーデータとレポート情報が統合されたMOL独自のシステムです。MOLが長年にわたり蓄積してきた運航のノウハウが解析技術に活用されています。パフォーマンスが落ちている船があれば原因を特定し、緊急対応が必要な場合は船長や機関長、メーカーなどと連携してすぐに手を打たなければなりません。私のいるシンガポールのオフィスでは、60隻の船を4つのチームで分担して管理しています。そのほかにも、船舶の保守計画やドライドックでの点検に入る前の準備、部品調達の手配まで業務は多岐にわたります。日々新たな課題が生じるので、一日として同じ日はありません。けれど私たちの目標はつねに同じ。最高の安全性とコンプライアンス基準を維持しながら、船舶を効率的に運航することです。
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現場クルーの洞察を信じ、全力で支える。

印象に残る仕事のエピソードを教えてください。
最も充実感を得られる瞬間は、問題に直面した船舶を無事に復旧できたときです。特に思い出深いのは、航海中に突然の停電が発生して推進力と電力を失ったケースです。海上にサービスステーションはありませんし、クルーと陸上チームが協力して問題を迅速に診断し解決する必要があります。私のモットーはクルーの洞察を優先し、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう支えること。クルーは最前線の現場におり、彼らが直接得た情報は意思決定において極めて重要だからです。このときも船上チームは体系的に作業を進め、陸上の私たちはエンジンメーカーとともにリモートで技術サポートを提供しました。最終的には燃料供給の不具合と判明。見事に復旧することができました。チーム一丸となった対応によって船舶の安全が守られたのは、とても感動的な経験でした。
かつてチームに育てられ、いまは育てる立場に。
職場の仲間はあなたにとってどんな存在ですか?
入社当初、当然ながら私はチームの中で最も若いメンバーのひとりでした。機関士としての経験豊富な同僚に囲まれ、彼らの専門知識に追いつくのが大変でした。でもMOLという職場は誰もが協力的で、気さくに相談できる先輩ばかり。チームワークとメンターシップというMOLの文化がプロフェッショナルとしての成長を助けてくれました。周囲のサポートがあったからこそ、いまの自分がある。仕事上のチームワークを超えて、友情にも似た感覚があります。それは課題解決をより簡単にし、仕事をより楽しいものにしてくれています。現在では立場が変わり、リーダーとして若手のサポートにも関わっています。


未来を運ぶ船を、最高の状態で送り出す。

MOLグループの一員であることを実感する瞬間は。
「これがMOLグループだ」と感じた瞬間は、2025年1月28日に新来島どっく大西工場で行われた「CIELO ACE」の引き渡しでした。「CIELO ACE」はLNG燃料自動車船「BLUE」シリーズの一隻であり、CO2排出量削減と持続可能性向上に向けた大きな一歩となるものです。私は船舶引き渡しの技術的側面を監督し、すべてのシステムや機器が最高の基準を満たしていることを確認する責任を負っていました。MOLグループが注力しているこの事業に参加し技術監督を担当できたことは、私にとってとてもチャレンジングで誇り高い体験です。MOLはつねに新しい技術に取り組んでいますから、私も多くの人と話して知識を増やし、現場でそれを生かせるように学び続けたいと思っています。
家族のための時間が、私のための時間。
休日はどんなふうに過ごしますか?
多忙な日々の中で自分の時間は限られているので、休日はできる限り家族や友人と過ごすようにしています。特に家族のために食事を準備するのは、私にとってリラックスできる時間であり、家族の絆を深める方法です。あと個人的に自転車がとても好きで、時間があればサイクリングをしに行きます。CIELO ACEの引き渡しで今治に滞在していたとき、新来島どっくの近くにある「しまなみ海道」がサイクリングコースとして有名なのは知っていたのですが、当時は多忙でぜんぜん時間がなくて。こんどは家族を連れて行きたいなと思っています。


帰れる場所があるから、挑戦できる。

これからの夢と、世界で働く仲間たちへのメッセージを。
長くひとつの会社に勤めることは決して簡単ではありません。でも、MOLは私に数えきれないほどのチャンスを与えてくれました。だからこそ、私はこの会社を本当の家のように感じています。一人ひとりが違う文化や経験を持っていますが、それを尊重しながら協力し合い、新たな挑戦ができるのがMOLのチームだと思っています。私自身は、いつかAI技術で私たちの船舶管理能力を次のレベルに引き上げ、もっと多くの船をより安全に効率よく支えられるようになりたいと考えています。世界中の仲間のみなさんも、自分の道を信じて挑戦を続けてください。そして互いにサポートし合いながらMOLらしさを受け継いでいきましょう。私たちの誇りが、海の安全と未来を支えていくはず。皆さんのこれからの航海が成功に満ちたものであることを祈っています。