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アカウミガメ回遊経路調査に当社自動車船が海上輸送で協力

2024年07月11日

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、名古屋港水族館が行う絶滅危惧種であるアカウミガメの回遊経路調査(註1)に、当社自動車船(船名:「FIRMAMENT ACE」ファーマメントエース)が海上輸送で協力しました。本取り組みは、昨年(註2)に続き第2回目となります。

(本船「FIRMAMENT ACE」)
(放流の様子)
©名古屋港水族館

6月27日名古屋港金城ふ頭にて、アカウミガメ28頭が本船に積み込まれ、乗船した水族館関係者2名により、現地時間7月7日に太平洋上で無事に放流されました。

本調査は、北太平洋中部の東端にいるアカウミガメが、海面が暖かくなるエルニーニョの年にはカリフォルニア沖に到達するという太平洋の熱回廊仮説(註3)を検証するため、名古屋港水族館がスタンフォード大学を含む国内外の研究機関と共同で実施するものです。アカウミガメに取り付けた送信機から発信される位置情報から回遊経路を探ることで、絶滅の危機に瀕しているアカウミガメの生態を解明し、保護活動に役立てることができます。

放流されたアカウミガメは、全頭が約2歳で甲長が約35-45cm、体重が約9kgと比較的サイズが大きく、ふ化直後のカメと異なり外敵から襲われる可能性は低いです。

当社グループは、経営計画「BLUE ACTION 2035」で環境戦略を主要戦略の一つとして位置付け、「商船三井グループ環境ビジョン2.2」を定めています。当社は、事業による海洋環境・生態系への影響を認識し、事業活動の場であり世界万人の共有財産である海洋保全に貢献すべく、今後も、多種多様な企業市民活動を積極的に行ってまいります。

(註1) 通称「STRETCH」(Sea Turtle Research Experiment on the Thermal Corridor Hypothesis)
アカウミガメは世界の温帯、熱帯域に分布していて、北太平洋における産卵場は黒潮の影響のある日本沿岸域にほぼ限られています。日本の海岸で孵化したアカウミガメは北太平洋中部まで移動することが分かっています。本調査はアカウミガメがエルニーニョの年には太平洋を渡ってバハカリフォルニア半島沖まで回遊するという仮説を検証するためのものです。本調査を通じて追跡したアカウミガメの行跡と海洋環境のデータを詳細に分析することで回遊生態の解明ができ、絶滅の危機に瀕したアカウミガメの効果的な保護活動に貢献します。
こちらのサイト(URL: https://www.loggerheadstretch.org/)から放流された全28頭のアカウミガメたちの位置情報を誰でもリアルタイムにて、確認することができます。

(註2) 詳細は以下プレスリリースをご参照ください。
2023年7月14日付け「アカウミガメ回遊経路調査に当社自動車船が海上輸送で協力」

(註3) 太平洋の東にはダーウィンが提唱した「生物地理的障壁」が存在します。通常幼生から大型の遊泳種に至るまでの海洋生物の通過が妨げられていますが、アカウミガメが北太平洋中部からメキシコのバハカルフォルニア沿岸に断続的に移動するメカニズム、つまり北太平洋中部とバハカルフォルニアの生息域をつなぐ「暖かい海水の道=熱回廊」が断続的に現れることを熱回廊仮説として提唱しています。


商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題として特定した「サステナビリティ課題」への対応を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献します。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Human & Community -人の活躍と地域社会の発展-」にあたる取り組みです。