2020年04月17日
株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)と大統海運(タ・トン・マリン、Ta Tong Marine)以下「大統海運」)は両社の合弁会社である大三商航運股份有限公司(タ・サン・シャン・マリン、Ta San Shang Marine Co. Ltd. 以下、「大三商」)を通じ、4月1日、デンマークのオルステッド(Ørsted A/S、以下「Ørsted」) の100%子会社であるオルステッド台湾(Ørsted Taiwan Limited.)とService Operation Vessel(サービス・オペレーション・ヴェッセル。以下、「SOV」(註1))の定期貸船契約を締結しました。
また本定期用船契約締結と同時に、大三商はノルウェー造船所のヴァルド(VARD Group A/S、以下「VARD」)の100%子会社であるヴァルド・シンガポール(VARD Singapore Pte. Ltd)との間で同契約に投入する新造SOVの建造に関する造船契約を締結しました。
本件は台湾およびアジア初のSOV事業で、ヴァルド・ブンタオ(Vard Vung Tau、VARD傘下のベトナム造船所)にて2022年上半期の竣工を予定し、その後Ørstedが台湾台中沖で開発を進める大彰化(ダイショウカ、Greater Changhua)洋上風力発電所向けメンテナンス支援業務に15年間(最大20年間)従事します。
SOVとは、洋上風力発電所の開発が最も盛んな欧州で普及するメンテナンス作業の支援に特化した専用船であり、洋上風力発電事業の進展が見込まれる台湾などを中心に(註2)、今後はアジアでも需要拡大が見込まれています。
また商船三井は長年に亘り台湾での重要なビジネスパートナーである大統海運と組み、これまで培ってきた台湾でのビジネス経験および海技ノウハウを活かして洋上風力発電における世界最大の事業者であるØrsted 社との新たな関係を築く事でエミッションフリー分野における新たな事業領域に踏み出します。
商船三井グループは、新たな顧客ニーズを的確に捉え、今後も「環境・エミッションフリー事業」を推進・育成し、環境負荷低減に努めていきます。
(註1):【Service Operation Vessel(SOV)とは】
洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣する為に多数の宿泊設備を持ち、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船。本船と洋上風車の距離を常時安全に保つため、ダイナミックポジショニングシステム(DPS:自動船位保持機能装置)を搭載し、また本船から洋上風車プラットフォーム上に技術者を安全に渡すため、波等による船体動揺を吸収するモーション・コンペイセイション(Motion Compensation)機能をもつ特殊なギャングウェイ(Gangway) を搭載する。
(註2):【台湾における洋上風力発電事業に関して】
2017年1月に台湾における電気事業法が改正され、原子力に代替する電源の一つとして再生可能エネルギーの推進が掲げられた。台湾島西方に位置する中台海峡は風況に恵まれており、主たる再生可能エネルギー電源として2020年から2025年の間に合計5.5GW分の洋上風力発電所の系統接続許可が発効された。更に2026年から2035年の間に追加で10GWの洋上風力発電事業が検討されている。
【本件SOV主要目】
船籍 | 台湾 |
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全長 | 84.4m |
全幅 | 19.5m |
計画喫水 | 5.6m |
最大乗船人員 | 約90名 |
特徴 | DPS、Motion Compensated Gangway System装備 |
外観イメージ | ![]() |
【大彰化(Greater Changhua)洋上風力発電所】
開発事業者 | Ørsted |
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設備容量 | 900MW(Greater Changhua 1 + 2a 地区合計) |
サイト位置 | 彰化沖35km~60km地点 |
建設期間 | 2021年~2022年 |
サイト位置関係 | ![]() |
【Ørsted】
社名(ホームページ) | Ørsted A/S(https://orsted.com) |
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設立 | 1972年(2017年10月に旧ドン・エナジーからØrstedに改称) |
代表者 | ヘンリック・ポールセン (President/CEO) |
所在地 | デンマーク フレデリシア |
事業内容 | 電気事業(洋上風力を中心とする再生可能エネルギーによる発電・送電・供給・販売) 「再生可能エネルギーのみで世界の電力を全て賄う」という目標を掲げる世界最大の洋上風力事業者。Ørstedはコーポレートナイツ社(カナダ)の、世界で最もサステナブルな企業100社を選ぶランキングにおいて第一位(2020年)を獲得しており、また、国際NPOによるカーボン・ディスクロージャー・プロジェクトにおいて、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みが特に優れているとされる「気候変動Aリスト」企業として分類されている。 |
【TTM】
社名 | Ta Tong Marine Co., Ltd. |
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設立 | 1965年 |
代表者 | 林 宏年 (董事長) |
所在地 | 台湾、台北市 |
事業内容 | 船主、船舶管理業 |
【VARD】
社名(ホームページ) | VARD Group A/S(https://www.vard.com/Pages/default.aspx) |
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設立 | 1998年 |
代表者 | エリック・ホーコンホルム |
所在地 | ノルウェー オーレセン |
事業内容 | 造船事業(特殊船・オフショア支援船) |