トップページ > プレスリリース 2020年 > ウェブアプリ導入により航海記録データのリアルタイム処理を実現

ウェブアプリ導入により航海記録データのリアルタイム処理を実現

2020年11月20日

株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)は、航海記録の要約版であるアブログ(註1)のデータを、リアルタイムに処理・活用するウェブアプリ(註2)「Online ABLOG(オンライン アブログ)」をグループ会社の商船三井システムズ株式会社(社長:吉田毅、本社:東京都港区)と開発・運用を開始し、船陸双方における業務の効率化を実現しました。

従来は乗組員が船上の専用ソフトウェアを利用してアブログを作成し、電子メールで関係先に送信していましたが、陸側でデータ取込に時間を要し即時のデータ分析は難しい状況でした。また船陸双方の他システムとの連携が出来ず、データの二重入力が発生していました。

これを解決すべく、専用ソフトウェアを使わずウェブブラウザーから衛星回線経由で利用するウェブアプリを構築しました。海上通信環境下では陸上と比して回線速度が遅いため、ウェブアプリ開発当初は船上からのサーバー接続に時間がかかり実用に耐えない状況でしたが、日本マイクロソフト株式会社(本社:東京都港区)の協力を得て開発を進めた結果(註3)、十分業務に耐え得るレベルを実現し他システムとの連携も含めて業務効率化に成功しました。具体的に効率化された業務は以下の通りです。

  • メールでの航海記録データ送信作業、専用ソフトウェアのシステム管理、バージョンアップ作業の不要化(約880時間/年/隻)
  • 船陸双方の他システムとの連携によるデータ入力の省力化(約270時間/年/隻)
  • 航海記録データのリアルタイム取得による就航状況の簡易解析及び陸上からの監視機能強化
  • 燃料レポート(註4)のデータベース化による検索性の向上
  • システム設定変更の簡易化

本ウェブアプリは197隻に搭載済みで今後順次拡大していきます。

商船三井は、運航データの効率的な収集に努め、その有効活用を通じて安全かつ環境負荷の低いオペレーションを目指し、ストレスフリーな輸送サービスを提供します。

(註1) アブログ(ABLOG)とは“ABSTRACT LOG(アブストラクト ログ)”の略です。寄港地名、入出港日時、航海時間、位置、速力、燃料・潤滑油、停泊期間、機関運転データ等の船舶動静を記録したものがアブログ報告書で、そのデータを運航管理、燃費の分析に活用しています。

(註2) ネットワークから利用するウェブサーバー上で動作するソフトウェアで、ウェブブラウザーで操作します。

(註3) 2018年に先行提供が開始されたマイクロソフト社(本社:アメリカ合衆国ワシントン州)のグローバルネットワークサービスAzure Front Door(アジュールフロントドア)を利用。航行中の船は衛星通信を経由するため、どの国のどの地域からインターネット通信を行うか特定できませんが、Azure Front Doorを使用することで、世界中にあるAzureの最も近いアクセスポイントからマイクロソフトネットワークを経由してウェブアプリケーションに到達することが可能になります。

(註4) 補油した油の使用後評価レポート。