2025年09月10日
株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)、HD Korea Shipbuilding & Offshore Engineering Co., Ltd.(以下「HD KSOE」)、HD Hyundai Heavy Industries Co., Ltd.(以下「HHI」)の3社は、陸上へ水素エネルギーを供給するための浮体式アンモニアクラッキング設備を共同開発し、ロイド船級協会(以下「LR」)から設計基本承認(AiP)を取得しました。
本設備は、アンモニアを熱分解により水素と窒素に分ける技術を船に搭載することで、洋上から直接水素を陸上に供給するソリューションです。脱炭素社会の実現に向けた水素エネルギーの活用を加速させることが期待されています。
本プロジェクトでは、浮体式アンモニアクラッキング設備のプロセスならびに基本配置を含む概念設計を完了しました。これは、H2ACT®技術に基づく1日あたり1,000トンもの水素供給を可能とするアンモニア分解プロセスとモジュールをKellogg Brown & Root LLC(以下「KBR」)と共に設計し、新触媒技術(註)をAmogy Inc.(以下「AMOGY」)と共に開発・適用することで実現しました。
また、AiP授与式は、9月9日にイタリア、ミラノで開催された世界最大級のエネルギー国際展示会・会議「Gastech Exhibition & Conference 2025」(ガステック2025)にて執り行われました。近年クリーンエネルギーである水素の需要は高まっており、水素の普及のためにサプライチェーンの構築が求められています。アンモニアを船上で分解し、生産された水素を陸上に供給するというソリューションは、陸上基地の建設が困難な地域におけるクリーンエネルギーの安定供給を可能にし、脱炭素化に向けた水素サプライチェーンの構築に寄与します。
<各社の役割>
会社名 | 役割 |
---|---|
商船三井 | 要求仕様検討、マーケット分析 |
HD Korea Shipbuilding & Offshore Engineering Co., Ltd. | アンモニア供給システムの設計と総合的な実現性の評価 |
HD Hyundai Heavy Industries Co., Ltd. | 浮体式アンモニアクラッキング設備の概念設計 |
ロイド船級協会 | 技術評価・審査 |
Kellogg Brown & Root LLC | アンモニアクラッキングプロセスとモジュールの設計 |
Amogy Inc. | アンモニアクラッキング触媒の性能評価 |
(註) アンモニア分解プロセスを効率良く、少ない運用工程で行うことができる高活性触媒。
商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題(マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。