テクノロジーを軸とした安全インフラ

MOL安全標準仕様、MOL Design Practices

MOL安全標準とは、過去に発生した重大海難事故を契機として、当社運航船の安全レベルを適切に保つことを目的に2006年に策定開始し、都度改訂しています。特に安全運航対策上、社会や当社利益への影響が大きい『衝突、座礁』『火災』『浸水・復原性喪失』『海上漏油、環境汚染』『労働災害事故』の防止を確固たるものにするため、仕様を定め当社船に適用しています。

MOL Design Practicesは、長年の運航経験を通して得られた、(1)粗悪油対策といった運航を阻害する問題への対策、(2)メンテナンスへの対策、(3)救命・保安・環境等に資するポリシーやプラクティス、それぞれに関する知見を技術的・経済的検討を行った上で、標準仕様として体系的にまとめたものです。

対策の一部を以下の通り紹介します(「事例」をクリックするとウィンドウが開きます)

AED 高膨張泡消火システム 機関室監視カメラ ポータブルダビット 錨鎖クイックリリース装置
事例(1)AED
万一、乗組員が心停止を起こして倒れた場合、他の乗組員がAEDを使用して電気ショックを行い、迅速な心肺蘇生を実施することで、倒れた乗組員の命を救います。
事例(2)高膨張泡消火システム
機関室で火災が発生した場合、従来は消火のためにCO2(二酸化炭素)を投入していましたが、逃げ遅れた乗組員が酸欠に陥るリスクや、換気口がうまく閉まらず空気が機関室内に入り込み、消火に時間がかかってしまうリスクがありました。このようなリスクを払拭するため、機関室に大量の泡を投入して消火するシステムを導入しました。
事例(3)機関室監視カメラ
主機・発電機といった燃料を使う機器や、機関室からの脱出ルートの周辺に監視カメラを配置しています。火災発生時の的確な状況把握、消火作業や脱出経路における乗組員の安全確保、録画機能による事後の検証等が可能となります。
事例(4)ポータブルダビット
バラストタンクなど閉区画での作業中に乗組員が動けなくなってしまうことも想定されます。ポータブルダビットを使用することで迅速・確実な救助が可能となります。
事例(5)錨鎖クイックリリース装置
2006年に起きた鉄鋼石専用船の座礁・沈没事故において、錨鎖を船体から迅速に切り離せなかったことが状況を悪化させた要因の1つでした。この苦い経験を踏まえ、導入されたのが錨鎖クイックリリース装置です。ウィンドラス(揚錨装置)による巻き上げができない緊急事態に、錨鎖の付け根部分を素早く切り離すことで船体の自由を確保し、人命と船を守ります。

本船モニタリング体制の構築

機関運転状態モニタリング

運航船に搭載したFleet Transferを利用し、FOCUS(Fleet Optimal Control Unified System)という次世代型船舶管理支援システムを利用しています。

商船三井では当該システムを利用して、機関運転状態モニタリングに注力し、異常などがあればそれをすぐに船舶管理会社や本船に通知することで、不具合を早期発見し、不稼働の極小化を目指しています。