おもてなしの心で、
日本らしいクルーズ文化をつくる。
世界中で働くMOLの人たちを紹介する「MOL CREW」。
今回は長年にわたり日本のクルーズ文化を支えてきた
ホテルゼネラルマネージャーのストーリーです。
Profile / プロフィール
- Name / 名前
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Keiichiro Kawano
川野 惠一郎 - Birthplace / 出身
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JAPAN
日本 - Affiliation / 所属
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MOL Cruises, Ltd.
商船三井クルーズ
- Profession / 職業
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Hotel General Manager
ホテルゼネラルマネージャー
川野惠一郎さんは、東京出身。
大学卒業後に商船三井客船(現・商船三井クルーズ)へ
入社し、にっぽん丸をはじめとするクルーズ船で
サービスに従事。
現在はMITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)の
ホテルゼネラルマネージャーとして、
最高のクルーズ体験を届けることに情熱を注いでいる。
アルバイトの体験から、クルーズの世界へ。
現在の仕事についたきっかけを教えてください。
学生の頃は船の仕事に就くとはまったく想像もしておらず、旅行会社やホテルなどの接客業を志望していました。そんな私の船との出会いは、夏休みに伊豆七島航路でアルバイトをしたこと。最初は働きながらリゾート気分を味わえると思っていましたが、1ヶ月間のアルバイトで上陸できたのは新島に2分だけ。それもお客さまの忘れ物を届けるためでした(笑)。あまりにもハードで、船なんかもう絶対乗らないぞと。でもアルバイトが終わってしばらくすると、海で見た朝日や夕日、夜の波間にきらめく夜光虫の美しさを思い出したりして。なんだか海の揺れが恋しくなっている自分に気づきました。無性に船に乗りたくなり、こんどはアルバイト代をはたいて乗客としてクルーズに参加。船の旅という非日常の舞台にますます魅せられていったのです。気づけば自分の進路はクルーズ一択になっていました。
船内のすべてに目を配り、心を配る。
クルーズ船での1日はどのようなものですか?
クルーズ船の中で私はサービス部門の「総支配人」として、すべてのサービスが円滑に提供できているかを管理する立場にあります。1日の仕事は早朝から。レストランのギャレー(調理場)やハウスキーピングのクルーに挨拶をしながら船内を巡回することから始まります。日中もデスクワークの合間に船内を見て回り、気になることがあれば各部門とコミュニケーションを図る。夕食後のショーが終わり、船内が静まるまでが私の仕事時間です。お客さま一人ひとりの表情にも目を配り、もし気になることがあればお声がけするようにしています。お客さまが言い出せないことをこちらから察する。それが日本ならではのおもてなしに通じるのではないかと考えています。コストや売り上げなどのマネジメントをするという面もありますが、私は教科書通りの総支配人でいたいとは思いません。お客さまに他の乗り物や宿泊施設にはない感動をどう味わっていただくか、というところを考えるのがいちばん大切な役割だと考えています。
思い出をつくる乗り物であるために。
どんなときに仕事のやりがいを感じますか?
目的地へと移動する飛行機や列車などとは違い、クルーズはそこで過ごす時間そのものが旅です。日常を離れ、海の上で過ごす日々。そこには笑顔も、驚きも、静かな感動もあります。そのすべてを生み出すのが、私たちの役目です。お食事、エンターテインメント、寄港地での体験、そして何気ない船内のひととき。それらすべてが重なって、お客さまの心に刻まれる特別な記憶になっていく。クルーズに乗船されるお客さまは皆、特別な時間を楽しもうという思いで来てくださっている。だからこそ期待を超える感動を生むために全力で取り組んでいます。乗り物はたくさんありますけれども、降りるときにお客さまから「一生の思い出になりました」というふうに声をかけていただける乗り物はクルーズ船以外にはなかなかないと思います。そういう仕事に携われているのは、本当にありがたいことです。
仲間とともに、ひとつの「街」を支える。
仕事仲間はあなたにとってどんな存在ですか?
クルーズ船はいわば「洋上の街」のようなものだと思っています。そこには宿泊、食事、娯楽、ショッピング、観光、交流など人が生活するためのすべてがあります。そしてそこで働く仲間たちは、先輩も、後輩も、新人も、皆それぞれの専門性を持ったプロフェッショナルの集まり。そんなプロフェッショナル集団の一員として働けていることをとても嬉しく思いますし、これだけ様々な職種の仲間が、ひとつの乗り物に集まっている職場はほかにないと思います。自分の役割に責任を持ちつつ、お互い支え合いながらこの「街」をよりよい場所にしていきたいと思っています。
世界の海で感じた、心強さと誇らしさ。
これまでの航海で
特に印象に残っているものはありますか。
にっぽん丸が世界一周クルーズに出航した年、ソマリア沖を通過することがありました。そのとき近くの海域にいたMOLグループの貨物船が、にっぽん丸と並走してくれることになったのです。安全対策として万全を期すため、わざわざスケジュールを調整し、本来の巡航速度を落としてまで私たちの船に寄り添ってくれました。そして見守りの役目を終えると、貨物船は再び速度を上げて離れていく。その後ろ姿を見て、凛々しさと頼もしさに震えるほど感動しました。日本から遠く離れた海上で、グループの絆がどれほど心強かったか。あのとき感じた誇らしさは、いまも忘れられません。
クルーズ船が、被災地に希望を届けた日。
MOLグループの一員であることを実感する瞬間は。
東日本大震災の直後、私が乗船していた「ふじ丸」が岩手県に派遣されたことがありました。大船渡・釜石・宮古に寄港し、被災された方々に食事や入浴、休息等のデイユースサービスを提供しました。それぞれの寄港地で私たちがこれまで歓迎を受けてきたことへのせめてもの恩返しという思いで、スタッフ一丸となって精一杯のおもてなしをさせていただきました。たくさんの方から感謝の言葉をいただき、それは「クルーズ船で働く自分に何ができるか」ということを深く考えさせられた経験でした。この支援活動も、グループ全体の想いがあって実現できたこと。私はあの日、MOLの一員であることを心から誇りに思いました。
街ランで、寄港地の魅力と出会う。
自由時間はどんなふうに過ごしますか?
乗船中は運動不足になりがちなので、寄港地で自由時間があるときは身体を動かすようにしています。特に好きなのが「街ラン」ですね。見知らぬ街を走りながら、偶然出会う景色やおいしいものを楽しむのが何よりのリフレッシュです。思い出深いのは喜界島での街ラン。喜界島の港は空港とも近く、滑走路を一周できる道路が街ランにちょうどいいコースになっています。その途中、空港ターミナル内のスタンドで見つけたのが「卵巻きおにぎり」。薄焼き卵で巻いた俵形のおにぎりなのですが、素朴な味わいながらも絶品でした。旅先でのちょっとした発見が刺激になって、次の仕事へ向かう活力になります。路地を抜けて海岸に出て、ふと見上げると自分の乗る船が遠くに見える。そんな瞬間も旅の喜びです。
「日本の美しい船旅」を、世界の人々に届けたい。
これからの夢と、世界で働く仲間たちへのメッセージを。
日本のクルーズ文化を、もっと世界に発信していきたいですね。日本には、四季の自然や伝統文化に根ざした美しさがあります。そして心を込めたおもてなしがあります。そんな喜びに満ちた「日本の美しい船旅」を届けたい。私の夢は、世界の人々が「MITSUI OCEAN CRUISES(三井オーシャンクルーズ)で日本のおもてなしを味わいたい」と思っていただけるような、唯一無二の会社にしていくことです。クルーズは人と人、国と国をつなぐ舞台。だからこそ、世界で働くMOLの仲間たちとの絆を大切にしながら、旅の感動をつくり続けていきたいと思います。



