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建造中の新造バルカーにシリコン系防汚塗料を初施工

2011年02月28日

当社が洞雲(どううん)汽船(愛媛県波方(なみかた)町)より長期傭船を予定し、現在南日本造船株式会社下ノ江工場(大分県臼杵市)で建造中の3万8千トン級バルカーに、このたびシリコン系防汚塗料のファウルリリース(*注1)ペイントである、インターナショナルペイント社製"intersleek(インタースリーク)900"を施工しました。日本の造船所で建造する新造船に、シリコン系防汚塗料を施工するのは初めてのことです。

本シリコン系防汚塗料"intersleek900"の特長は以下の通りです。

1) 防汚剤(*注2)を含んだ塗料が徐々に溶け出すことにより防汚性を確保する通常の自己研磨型塗料と異なり、表面粗度を下げて海水を滑りやすくすることで付着物を除去しやすくするタイプの塗料。
 
2) 撥水性を調整することにより海洋生物を付着しにくくしている。
 
3) 亜酸化銅(*注3)などの防汚剤を含んでいないため、環境負荷が小さく海洋環境に優しい。
 
4) 水中での摩擦抵抗を低減することにより、6%程度の燃料消費の節減効果が期待でき、CO2排出量も削減できる。
 
5) 次回入渠時に塗り直しが不要となるため、塗料消費量の削減と工期の短縮を計ることが出来る。
 
当社は中期経営計画「GEAR UP! MOL」の環境戦略の一つとして「船舶維新」プロジェクト(*注4)を進めており、その一環として環境負荷低減に貢献するあらゆる技術の導入に積極的に取り組んでいます。

同新造バルカーは本年2月25日に進水、5月初旬に竣工の予定です。すでに本年2月に竣工の船底に通常の塗料を施工した同型船のパフォーマンスと比較をした上で、効果があると判断すれば、同シリコン系塗料の本格的な採用を検討します。

*注1)ファウルリリース
生物が塗膜に付着しても容易に自重で離脱する機能のこと。
*注2)防汚剤
有機スズや亜酸化銅など。防汚塗料は海水中で塗膜表面から防汚剤を溶出 して、生物が塗膜表面に付着するのを防止する。
*注3)亜酸化銅
亜酸化銅は防汚剤として古くから使用されており、有機スズに比べれば 汚染性は低いが、海洋環境への長期的な影響を懸念する声が強まっている。
*注4)「船舶維新」プロジェクト
2009年9月から2010年10月にかけて発表した次世代船構想プロジェクト。 実現可能な技術を用いてCO2排出量削減などを図り、地球環境保全に一刻も 早く、また、大きく貢献する取り組み。