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創立記念日 社長メッセージ

2013年04月01日

当社は4月1日に創業129周年の記念日を迎えました。
社長 武藤光一のメッセージを下記のとおりお知らせします。

黒字化必達で、復活の狼煙を

MOLグループの皆さん、本日当社は創業129周年を迎えました。新たな年度の始まる本日より、成長軌道に再び復帰するための単年度経営計画に基づく事業展開を開始します。

今年に入り、米国経済の復調や円安の進行など一部に明るい兆しが見えはじめましたが、海運業界においては、2014年以降の新造船竣工量は大幅な減少が見込まれるものの、2013年度中は引き続き新造船の大量竣工が見込まれ船腹過剰感の解消は期待できず、燃料価格も高止まりする中、今年度も緊張が強いられる経営環境が続くことを認識しなければなりません。

当社は今年の1月に断行した事業改革により、顧客と情報が集中するシンガポールにドライバルクのフリー船隊をシフトし、事業を再構築していくための体制を築きました。これにより、これまで赤字運航を余儀なくされていたバルカー船隊がコスト競争力を回復し、黒字化の基盤が整備されました。この基盤整備を踏まえて、更なるキャッシュフローの積み上げを企図して策定したのが2013年度経営計画です。

事業モデルの変革。これが単年度経営計画の大きな柱になります。2003年から2008年9月のリーマンショックまでの市況高騰時には、市況期待型ビジネスモデルにより大きな利益を上げましたが、船腹余剰が続いている現状、いま一度企業理念の原点に立ち返って、顧客ニーズに丁寧に対応していくための営業体制を再構築します。新興国を中心とした成長を取り込むべく、事業改革によりシンガポールを中心とした事業展開を加速する一方で、これまで我々を支えていただいてきた日本のお客様に対するサービス品質も引き上げ、一層強化していきたいと考えています。

市況そのものはどの市場参加者にも同じ競争条件となりますが、そこで得られるリターンは努力次第で大きな差がつきます。どのような市況環境においても常にマーケット+αの付加価値の創造を目指し、水域間格差や短期的な市況の波を捉える嗅覚を磨くこと、いろいろな航海・貨物を組み合わせてバラスト航海を減らし配船効率を向上することなどの創意工夫を行ってください。営業努力と創意工夫の積み重ねは黒字化必達の一丁目一番地です。

外部事業環境にかかわらず自らの努力で達成できること、それがコスト削減です。減速航海の深度化などでこれまでにも一定の成果を上げていますが、今年度は、従来の継続的なコスト削減努力に加えて、これまでとはステージを変えたコスト削減に取り組みます。これまで当たり前と考えていた業務の根本的な見直し・改革、上級管理職の給与一部返上や役員の報酬削減も含めて指差し点検によりすべてのコストの棚卸し・再評価を行い、300億円超のコスト削減を実行します。

海運は業態として市況の影響を受けることは避けられません。今年度の黒字化を確実なものとするためには、万一の市況下振れによる損益悪化リスクを軽減するため、市況リスクエクスポージャーを縮減することが必要です。そのための王道は貨物契約の獲得ですが、売船や返船などあらゆるオプションを駆使しながらフリー船の隻数を適正規模に向けて削減していきます。
また、不採算事業並びにノンコアアセットは、撤退・処分を含めて聖域なく果断に見直し実行していきます。

一方、将来の成長の種蒔きもLNG船、オフショア事業、コンテナ船の分野で積極的に行っており、中長期の成長戦略の遂行にも怠りはありませんが、今後のしっかりした成長軌道への復帰にはまず黒字化の実現が不可欠です。黒字化なくして将来の夢を語ることは納得感が乏しいと考え、2013年度はあえて集中力を高めるために単年度の経営計画としました。

黒字化を確実にするためには、従前にも増して大きなミスを犯さないことが必要です。安全運航やコンプライアンスの徹底は継続的な最重要課題として全員で取り組みます。昨年度は「4ゼロ」(重大海難事故・油濁による海洋汚染・労災死亡事故・重大貨物事故のゼロ)を達成しましたが、「4ゼロ」の範疇には該当しないものの、大きな事故も発生しました。安全運航にゴールはなく、緊張感を途切らせずにやるべきことを成す不断の努力の積み重ねが世界最高水準の安全運航を実現する唯一の途です。

2013年度は、厳しい経営環境において黒字化を達成できるかどうか、当社とMOLグループの底力が試されています。全員が非常時における危機対応モードで臨み、どのような状況においても黒字化を達成する決意を固めてください。黒字化は我々に与えられた必達の使命ですが、全員が一丸となって力を合わせれば、500億円規模の連結経常利益は達成可能と考えています。

2013年度は、黒字化を達成し、持続的成長に向けた基盤構築の年にするという決意を込めて、単年度経営計画を“RISE 2013”と命名します。全員で復活の狼煙を上げましょう。