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創立記念日 社長メッセージ
~Full Steam Ahead ! 2015年度は全速前進~

2015年04月01日

株式会社商船三井
代表取締役社長 武藤 光一

Full Steam Ahead!

MOLグループの皆さん、本日、当社は創業131周年を迎えました。130年の節目となる昨年度、私たちは中期経営計画「STEER FOR 2020」をスタートし、2020年に向けた舵を切りました。しかし残念ながら、業績面では期初に目指した連結経常利益700億円を達成できておりません。結果を真摯に反省し、各部門で既に取り組んでいる業績改善に向けた施策を着実に実行して、速やかに中計の軌道に復帰することが最重要課題と考えています。

2014年度を振り返って

2014年度を振り返ると、コンテナ船事業が、円安と燃料油価格下落の追い風があったにもかかわらず、航路環境や運賃市況、燃料油価格などの見通しとその対策が裏目に出たことや、ターミナル自動化工事の遅延なども重なって、予算を達成することができず、大きな赤字を計上しました。また、度重なる業績見通しの下方修正がステークホルダーからの信頼を損なうことになりました。定航部門の役職員は、当社のコンテナ船事業の業績が同業他社と対照的な不振に陥ったことを肝に銘じて、これまでの計画や対策が、過去の経験則や前例に捉われていなかったか、環境の変化に柔軟であったか、営業努力やコスト削減努力が競合他社と比べて本当に十分であったか、組織の力を結集できていたかなどを真摯に検証し、今期の復活につなげてほしいと思います。

ドライバルク船部門では、鉄鋼原料船部や専用船部の長期契約に基づく安定利益が業績を下支えしました。一方でスポット市況は、期初の想定では2014年後半に回復すると見込んでいましたが低迷が続き、年明けの2月には1986年以来の史上最安値を更新しました。中長期の貨物契約を持たないフリー船の損失が拡大したことを省みて、市況に対する判断と市況エクスポージャーのリスクマネジメントが適切であったかを改めて見直す必要があります。

油送船部門では、原油価格下落がマーケットのトレンドを変化させ、原油船、プロダクト船ともに市況が大きく好転しました。これまでのコスト削減努力と相まって同部門の業績は大幅に改善し、5期連続の赤字から脱却し黒字転換を果たせたことは、2014年度の業績面で唯一とも言える喜ばしい展開でした。

安全運航面では、2013年から続けてきた4ゼロ(重大海難事故・油濁による海洋汚染・労災死亡事故・重大貨物事故を発生させないこと)の達成を継続したものの、本船の不具合や長期の不稼働により、お客様にご迷惑をおかけし、当社にとっても不測の損失につながった事例がありました。すべての船種において、船舶管理体制の強化による海難・不稼働の予防は無論のこと、些細な不具合であっても海陸が連携した機敏な対応で影響を最小限に抑えることが非常に重要です。

2015年度は全速前進

以上のように昨年度は業績面では成長軌道からコースアウトしましたが、今年度はコースに復帰し、全速前進して遅れを取り戻さなくてはなりません。できる目途はついており、アクションプランを確実に実行し、結果を出すことが求められます。各自が現場で起きていることをしっかりと把握し、時に軌道修正もかけながら、意気軒昂で全力で取り組んでください。

2015年度のコンテナ船事業は中計復帰を確実にするレベルでの黒字化が必要です。一過性の損益悪化要因がなくなるほか、TraPacコンテナターミナルも自動荷役化が進捗し、ターミナル事業としての付加価値が確実に高まります。円安、燃料油安の追い風の中、目標とする利益レベルは十分達成可能であると確信しています。定航組織を挙げて全役職員が一丸となって今年度を必ず反攻復活の年にしてください。

不定期専用船事業では、LNG船・海洋事業以外の分野でも営業力を駆使しグローバルな展開により安定利益の積み上げを行ってきましたが、マーケット+αの付加価値をつけるべくより一層前向きに取り組んでください。市況の回復や好市況の持続を前提としない事業構造の構築に向け、変革のスピードを高めてほしいと思います。

改めて言うまでもないことですが、全部門を通じて、安全・安定輸送に向けた一層の努力が求められます。海陸一体となって本船の稼働率を高めることに細心の注意を払い、実行してください。更に、今年度は組織風土改革と営業力強化にも一層力を入れたいと考えます。部門長の役目は、顧客志向の組織を整え、自らの言葉で部下を率いて、活力ある組織を築くことです。

中期経営計画の進捗状況

2014年度は、損益こそ計画値を下回りましたが、「差別化による確かな成長」を目指す路線を着実に進めてきました。油送船部門で原油シャトルタンカー事業にも参画を果たしたほか、LNG船部門では国内向けシェールガスの長期輸送契約を複数積み上げました。今年に入ってからも欧州の大手顧客とLNG輸送の長期契約を締結し、欧州での商圏拡大につなげています。また、ドライバルク船部門でも長期輸送契約を締結しており、これらはいずれも、当社が顧客のニーズに的確に応える提案を行い、安全運航の実績やコスト競争力など当社の強みが評価されたものです。また、世界最大級の20,000TEU型大型コンテナ船6隻の整備も正式に決定しました。本船は2017年に順次欧州航路に投入しますが、優れた燃費性能がスペースの拡大と相まってユニットコストを低減し、2020年に向けた事業基盤の強化につながるでしょう。

管理部門においても、中計の行動計画に沿って、ステークホルダーからの信頼に応える各種取り組みを行いました。安全運航面では、乾貨船の船舶管理体制を見直し、海上安全部の機能を補強するとともにその権限と責任を強化しました。財務面でも、財務体質強化のためのさまざまな取り組みを積極的に実行しました。

コンプライアンスにおいては、各国競争法の遵守に関し教育・研修内容をさらに充実させて繰り返し実施したほか、組織と体制面においてもさまざまな強化策を施しました。加えて、贈収賄禁止など、当社の役職員が特に注意すべきルールの周知徹底を図ってきました。

MOL CHART

さて、当社は130年を超える歴史の中で、さまざまな取り組みと改革を経て、グループ全体で約2万人の役職員が働くグローバル企業に変身してきました。今後もグローバルな業容の拡大が進んでいくことでしょう。
このようななか、暗黙知として引継がれてきたMOLの価値観(Value)をグループ全体に拡げ、共有していくためには、明確な言葉で表現する必要があると考えました。そこで、私たちの共通の価値観をこのたびMOL CHARTとして制定しましたので、発表します。

CはChallengeです。私たちは、時代のニーズを先取りし、新たなビジネスチャンスを開拓します。イノベーションを生み出します。そして、大局観を持って未来を創造します。

HはHonestyです。私たちは、正道を歩みます。常にコンプライアンスを意識して、社会規範と企業倫理に従って行動します。

AはAccountabilityです。私たちは、難題に直面しても、常に当事者意識を持ち自律自責で取り組みます。

RはReliabilityです。私たちは、世界最高水準の安全とサービスを提供することで、お客様の信頼に応えます。

TはTeamworkです。私たちは、お互いを尊重し、自由闊達な風土を創ります。知識や経験、技術と海技力を共有し、後継者を育成することで、強い組織を作ります。

MOL CHARTには、130年にわたり先輩たちが培ってきた「MOLらしさ」を込めると同時に、真のグローバル企業として当社グループ役職員一人ひとりの「あるべき姿」が示されています。
皆さんはMOLグループの一員として、常にCHARTの価値観を念頭において行動してください。また、判断に迷ったときは、CHARTを拠り所としてほしいと思います。
今回制定したMOL CHARTを、まさに私たちの進むべき海図として皆で共有し、力強いモメンタムを生み出すことで「STEER FOR 2020」を達成し、グループの長期ビジョンである「世界の海運をリードする強くしなやかな商船三井グループ」の実現に向けて進んでいきましょう。