トップページ > プレスリリース 2021年 > 「海の豊かさを守る」産学官連携プロジェクト“Ocean180”に参画 ~船舶データの提供や海洋生物ビッグデータのプラットフォーム構築・事業化に協力~

「海の豊かさを守る」産学官連携プロジェクト“Ocean180”に参画
~船舶データの提供や海洋生物ビッグデータのプラットフォーム構築・事業化に協力~

2021年11月15日

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、国立大学法人琉球大学(学長:西田睦、本学:沖縄県中頭郡西原町、以下「琉球大学」)理学部海洋⾃然科⽣物系 久保⽥康裕教授(註1)が中心となって進める「海の豊かさを守る」ための産学官連携プロジェクト“Ocean180”(以下「本プロジェクト」(註2))に参画することとしました。

本プロジェクトは、海洋⽣物ビッグデータと統計モデルや⼈⼯知能(AI)を基に、海の⽣態系を⾒える化し、大学等研究機関・市⺠・⾏政・企業・⾦融機関と協働して「海の豊かさを守る」ための長期プロジェクトです。“Ocean180”というプロジェクト名は、劣化する海の状況を反転し改善させるという願いをこめた名称で、⽣物多様性ビッグデータ分析を基にした実効性のある海の保全再⽣アクションを推進します。

当社は、船舶運航データ(註3)等の提供、海洋⽣物データと海運データを統合した海上物流における影響の可視化技術の開発に協力します。また、当社が推進する海洋生物多様性保護に関する取り組みに、本プロジェクトから得られる情報・知見を活用することで社会実装への協力、並びに各種事業化の検討を進めていきます。

当社グループは、2050年までにネットゼロ・エミッションを達成することを目指し、2021年6月に「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」(註4)を策定しました。海洋環境保全や生物多様性保護などに取り組み、人・社会・地球のサステナブルな発展に貢献していくことで、青い海から豊かな未来をひらきます。(図1)

(図1)

(註1) 久保⽥康裕教授
自然史(ナチュラルヒストリー)研究の成果を基に、生物多様性情報をビッグデータ化し、日本全土の生物の分布を見える化している。さらに、国内外の研究者を中心に社会実装を推進するベンチャーである株式会社シンクネイチャーを設立し、「日本の生物多様性地図化プロジェクト(J-BMP)」(https://biodiversity-map.thinknature-japan.com)を構築した実績あり。同取り組みを通し、生物多様性ビッグデータを元にした保全計画の立案等により、行政機関や民間企業などのSDGsに関わる事業を支援している。東京都立大学理学部大学院博士(理学)取得。2007年に琉球大学理学部海洋自然科学科生物系 准教授、2015年に同教授。

(註2)「海の豊かさを守る」プロジェクト“Ocean180”
海洋⽣物多様性ビッグデータ汎⽤化の基盤技術と海の豊かさを守る応⽤技術の開発を目指し、久保⽥康裕教授を中心に関係機関で推進する産学官連携の長期プロジェクト。

主に以下3つの目標の達成を目指している。

目標① 誰もが使えるような、海の⽣物多様性ビッグデータを整備。海洋⽣物に関する様々な情報を規格化・強化・浄化しデータ統合するツールを開発。そして、機械学習(⼈⼯知能など)を駆使し、遺伝⼦・種・群集・⽣態系の多様性および保全利⽤の指標値を地図化し、⾏政機関や海に関わる様々な企業が利用可能な情報基盤を提供。
目標② 適応的で持続的な海洋保全利⽤に関する技術開発。世界・⽇本スケールで⽣物多様性の時空間パターンを定量予測し、環境変動を考慮した海洋保護区の空間配置、温暖化・沿岸開発・漁業・海運に関係した海の⽣物多様性と⽣態系サービスの影響評価を⾏う。
目標③ 様々な業界の連携で社会実装を推進。市⺠・⾏政・企業・⾦融機関と協働し、例えば、海洋⽣物可視化アプリケーションによるGIGA 教育事業、海洋生態系への影響も考慮した海運オペレーションモデル構築、海の豊かさへの影響に関わるリアルタイム評価監視システムの構築などを推進。

尚、本プロジェクトは、正式名称「海洋生物多様性ビッグデータ汎用化の基盤技術と海の豊かさを守る応用技術の開発」で、⽂部科学省の「海洋資源利用促進技術開発プログラム 海洋生物ビッグデータ活用技術高度化」*の一つとして実施。同プロジェクト期間は、「国連海洋科学の10年(UNDOS)」に対応した2021-2030年の10年間で、事業規模は年間最大3000万円。
* 「海洋資源利用促進技術開発プログラム 海洋生物ビッグデータ活用技術高度化」の採択課題の決定について:文部科学省 (mext.go.jp)

(註3) 船舶運航データ
現在、当社は、洋上ビッグデータを利活用し、運航船の安全運航強化・環境負荷低減の深度化を目指す「FOCUSプロジェクト」**に取り組んでおり、船体・機関・貨物・他船・海気象などの最大1万点以上のセンサから1分間隔で収集したデータを解析し、安全運航の更なる強化や運航効率の改善、環境負荷低減を支援する各種アプリケーションを順次拡充している。
** 始動!『FOCUS』プロジェクト ~ 業種を超えた協創、ICTを活用したデータドリブンな取り組みを通じて更なる安全運航強化・環境負荷低減を実現する ~

(註4)「商船三井グループ環境ビジョン 2.1」
https://mol.disclosure.site/ja/themes/101