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藻場の再生保全支援を目的とした『Jブルークレジット』によるブルーカーボン・オフセットに参画
~「世界初のEVタンカー」回航時CO2排出量とのオフセットを実施~

2022年03月18日

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、国土交通大臣認可法人であるジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)(註1)が発行するブルーカーボン(註2)を活用したクレジット『Jブルークレジット』(註3)のカーボンオフセット(註4)に参画します。

『Jブルークレジット』は、海草藻場などの海洋・沿岸生態系が吸収した二酸化炭素(CO2)であるブルーカーボンを対象とし、気候変動緩和へ向けた取組みを加速するための新たなクレジットとして注目されています。
2020年度から試行が開始され、2回目となる2021年度は、横浜市、周南市徳山下松港、兵庫運河における藻場や干潟の再生活動を通じてクレジットが発行され、本日販売者と購入者に対する証書交付式が開催されました。

証書交付式

当社は、以下総計約65トンの発行クレジット量のうち約11トンのクレジットの購入を通じ、各地域における藻場づくり活動の取り組みの活性化・持続可能性の向上に貢献します。
藻場などの生態系は、炭素を固定・吸収するだけでなく、食料供給、水質浄化、種の保全をはじめとする多様な価値を提供し、人々の暮らしを支えています。

【Jブルークレジット プロジェクトおよびクレジット詳細】

プロジェクト名称 多様な主体が連携した横浜港における藻場づくり活動 大島干潟から、つながる周南市ブルーカーボンプロジェクト in 徳山下松港 兵庫運河の藻場・干潟と生きもの生息場づくり
実施地 神奈川県 横浜市金沢区 山口県 周南市 徳山下松港 兵庫県兵庫区材木町4丁目 兵庫運河
プロジェクト申請者 横浜市漁業協同組合、特定非営利活動法人海辺つくり研究会、金沢八景-東京湾アマモ場再生会議 山口県漁業協同組合周南統括支店、大島干潟を育てる会、周南市 兵庫漁業協同組合、兵庫運河を美しくする会、神戸市立浜山小学校、兵庫・水辺ネットワーク
発行クレジット量 19.4 tCO2e※ 44.3 tCO2e 1.1 tCO2e
当社購入量 8.6 tCO2e 2.2 tCO2e 0.1 tCO2e

※CO2e = CO2 (carbon dioxide) equivalents の略で、二酸化炭素換算の数値。

当社が購入したクレジットは、当社グループの旭タンカー株式会社(本社:東京都千代田区以下「旭タンカー」)が新造し今年3月末に竣工予定の世界初のゼロエミッション電気推進タンカー"あさひ"(註5)が、造船所のある香川県丸亀市から給電設備がある神奈川県川崎市まで回航する際に排出するCO2とオフセットする予定です。今後、本船は再生可能エネルギー由来の電力を動力源とすることで、従来型の船と比べて年間約280トン、60%のCO2削減(想定値)に寄与します。当社は旭タンカーと協力して内航海運における電気推進船(EV船)の普及に努めます。

当社グループは、2021年6月に策定した「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」(註6)において、2050年までにスコープ1・2・3の全てを対象にネットゼロ・エミッション達成を目指し多様なステークホルダーとの共創を通じて、ブルーカーボンを始めとするネガティブ・エミッション(註7)の創出に取り組んでいます。そして、次世代に生きるすべての生命のために、人・社会・地球のサステナブルな発展に貢献していくことで、青い海から豊かな未来をひらきます。

(註1) ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)
沿岸域における気候変動対策を促進し、海洋植物によるブルーカーボン(註2)の定量的評価、技術開発及び資金メカニズムの導入等の試験研究を行うため、2020年7月に設立された国交省認可の技術研究組合。

(註2) ブルーカーボン
ブルーカーボンとは、マングローブ、海草藻場、塩性湿地といった海洋生態系によって隔離・貯留されたCO2由来の炭素のこと。2009年10月に国連環境計画の報告書においてはじめて定義され、陸域の森林等により吸収されるCO2由来の炭素「グリーンカーボン」とならんで、自然ベースのネガティブ・エミッション(註7)として注目されている。

(註3) Jブルークレジット
JBEが独立した第三者委員会による審査・認証意見を経て発行し、管理する独自のクレジット。JBEはブルーカーボン生態系のCO2吸収源としての役割とその他の沿岸域・海洋における気候変動緩和と気候変動適応へ向けた取組みを加速すべく、あらたなクレジットとしての「Jブルークレジット」の審査認証・発行へ向けた制度設計等に関する研究開発を実施している。詳しくは(https://www.blueeconomy.jp/credit/)参照

(註4) カーボンオフセット
ネットゼロ達成のために自身のCO2排出量を削減する努力をしたうえで、自身ではどうしてもゼロにできない排出量については、他者によるCO2の削減・吸収量の購入によって埋め合わせること(=カーボンオフセット)により調整すること。

(出典:Jブルークレジット®(試行)認証申請の手引き Ver.1.1)

(註5) ゼロエミッション電気推進タンカー"あさひ"
旭タンカー株式会社が新造する499総トン型のEVタンカーで、株式会社e5ラボ(本社:東京都千代田区)が企画・デザインした「e5タンカー」を採用。第1船"あさひ"は興亜産業(本社:香川県丸亀市)で2022年3月末に竣工する予定。続く第2船は井村造船(本社:徳島県小松島市)で建造し、2023年3月の竣工を見込む。

(註6) 商船三井グループ 環境ビジョン2.1
https://mol.disclosure.site/ja/themes/101

(註7) ネガティブ・エミッション
大気中のCO2を除去し、貯留することを指し、森林やブルーカーボン等自然界のCO2吸収を増やす自然ベースのものと、化学工学的技術を使って大気中からCO2を除去する技術ベースのものに二分される。