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商船三井と三菱造船が液化CO2船の設計基本承認(AiP)を船級協会から取得

2022年09月06日

株式会社商船三井
三菱造船株式会社

◆ 商船三井の船舶運航に関する豊富な知見と、三菱造船の高度なガスハンドリング技術を活用

◆ AiP取得を通じ、将来的な需要拡大が期待される大型LCO2船の市場投入に向け各種技術の開発および提供に尽力

ガステック2022で行われたAiP授与式

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)ならびに三菱造船株式会社(社長:北村徹、本社:横浜市西区、以下「三菱造船」)は、共同開発している液化CO2輸送船(LCO2船)について、ノルウェーの船級協会デット・ノルスケ・ベリタス(DNV、本部:オスロ)から設計基本承認(Approval in Principle:AiP)※1を取得しました。授与式は、天然ガス・LNG・水素など世界のエネルギー環境問題に関する大規模国際会議「ガステック2022(Gastech 2022)」の会場となったイタリア・ミラノのフィエラ・ミラノで9月5日に行われました。

このほどリスクアセスメント(Hazard Identification Study:HAZID)※2を実施しAiPを取得したLCO2船は、両社が共同で2021年11月にコンセプトスタディを完了した5万m3級の船型です。
将来の大型化を見据えたタンク圧力を仕様に取り込むとともに、欧州でLCO2船を30年以上管理する商船三井出資先のラルビック・シッピング社(Larvik Shipping AS、本社:ノルウェー)の知見を取り入れ、実運航に沿ったHAZIDを実施しました。

商船三井と三菱造船は、相互補完となる各社の強み・知見を活用し、現在実施している共同開発事業を進めるとともに、今回取得したAiPを通じてCCUSバリューチェーン構築に必要なLCO2船を含む各種技術の開発に引き続き尽力し、カーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献していきます。

商船三井は「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」において「2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成」を中長期目標として掲げています。商船三井グループは、液化CO2輸送事業への取組みを更に加速させ、社会のGHG排出削減に貢献していきます。

三菱重工グループではエナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでおり、この一翼を担う三菱造船は、目指す成長戦略「海洋Future Stream」において、再生可能エネルギーと炭素循環による「海の脱炭素化社会」、自律化・電化による「安心・安全な社会」を描き、海に関わるイノベーションの「知恵出し」とその「カタチ化」の実現を掲げています。今回のAiP取得を弾みに、海洋システムインテグレーターとしてLCO2船の開発とその事業化を積極的に推進するとともに、CCUSバリューチェーン構築に必要なLCO2船に関するさまざまな市場ニーズに柔軟に対応するべく各種技術の開発および提供に尽力し、陸・海に跨るCCUSバリューチェーンの構築と脱炭素社会の実現を目指していきます。

DNVより取得したLCO2船のAiP

※1 設計基本承認(Approval in Principle : AiP)とは、認証機関が基本設計を審査し、技術要件や安全性の基準を満足すると承認されたことを示すものです。今回は液化ガスをばら積で輸送する船舶に適用されるIGCコードおよびDNV船級規則に基づき、審査が実施されました。

※2 Hazard Identification Study : HAZIDとは、プラントやシステムにおける安全性評価手法の一つであり、設計概念の潜在的なリスク(ハザード)項目を洗い出し、そのリスクの大きさや対策の有効性を評価するものです。


LCO2船イメージ動画