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創立記念日 社長メッセージ

2024年04月01日

株式会社商船三井社長 橋本剛による全役職員向け「創立記念日 社長メッセージ」を下記の通りお知らせします。

創立記念式典にて挨拶する社長 橋本

創業140周年 新たな時代に向かって挑戦

商船三井グループの皆さん、今年は、当社のルーツの一社である大阪商船が1884年5月に創業されてから140周年となります。過去において幾多の世界情勢の変動・混乱や大規模な経済危機を乗り越え、当社は海上輸送を通じて日本経済および世界経済の発展に貢献し、企業としても大きく成長を遂げてきました。今日の当社グループの姿は、諸先輩方が数々の船舶のイノベーションを生み出し、また絶えず安全品質とオペレーションを磨いてきた、創意工夫と努力の歴史の上に成り立っています。その原動力は連綿と受け継がれてきた基幹産業としての強い使命感と飽くなきチャレンジ精神です。140年間育んできた精神を基盤に、本日から当社グループの新たな挑戦の歴史が始まります。

年頭の挨拶でも述べましたが、世界情勢の混迷、世界経済の動向、地球環境の悪化など、当社グループを取り巻く状況は日々複雑さを増しており、事業環境の変化への対応や新規の投資判断がますます難しくなっています。今年は、秋に予定されている米国大統領選挙、米中関係のさらなる緊張、中国経済の低迷など、事業環境に大きな影響を与える可能性のある要素が幾つもあります。厳しい事業環境が続きますが、私たちは自らの企業理念に基づき、グループビジョンの実現に向け、海を起点とした社会インフラ企業として、世界経済の発展、環境問題をはじめとする社会課題の解決に揺らぐことなく取り組みを続けていきます。


「BLUE ACTION 2035」 2023年度の振り返り

一年前、経営計画「BLUE ACTION 2035」がスタートし、その中でグループビジョンを2035年のありたい姿として定めました。その実現に向けて事業ポートフォリオの変革に着手し、最初の三年間で1.2兆円の投資計画を策定しました。昨年度は、環境投資を中心としたエネルギー事業、安定収益が見込める不動産事業での投資を積極的に進め、当初計画を上回るペースで投資案件を積み上げることができました。新造LNG船の継続的な発注、ケミカル船社Fairfield Chemical Carriersの買収、三井海洋開発株式会社への出資、風力発電メンテナンス事業国内最大手 株式会社北拓との資本提携、ダイビル株式会社による札幌での再開発事業への参画や将来の本社ビル再開発を見据えた虎ノ門三井ビルの取得など、さらなる成長と将来の事業ポートフォリオ変革に向けた投資を実行しました。また、当社グループでは、2021年より「地域戦略」を掲げ、海外での新規事業開発を推進していますが、昨年度より魅力のある投資案件が各地域から上がってきており、既に意思決定した案件も幾つかあります。今年の2月には、欧州・アフリカ組織が中心となり、ポーランドでGaz-System向け新造FSRU 1隻の定期用船契約に関する優先交渉権を獲得しました。今年度も各地域組織主導による新規投資案件の検討が進んでおり、将来の成長に向けた手応えを感じています。
業績面では、昨年度は円安の追い風もありましたが、安定収益型の事業は計画通りの業績を上げ、ケミカル船・自動車船事業では好市況の波を捉えることができました。今年度の業績についても、依然続いているフーシ派による紅海での商船に対する攻撃等、海運市況に大きな影響を与える要素がありますが、現時点では「BLUE ACTION 2035」で示した中長期的な利益目標に沿った業績の達成を想定しています。

昨年度は、事業ポートフォリオの変革実行に必要な基盤整備として、大胆な組織改編や様々な社内制度・仕組みの改革を実施しました。業務を進める上で皆さんには大きな負担になったかと思いますが、新体制・制度の導入から一年が経過し、その間「BLUE ACTION 2035」の中身や考え方に対する理解が広がり、徐々に成果に結びついていることを実感しています。「BLUE ACTION 2035」が初年度順調に滑り出したことは、全グループ会社役職員の皆さんの尽力の賜物であると改めて感謝します。


「BLUE ACTION 2035」 2024年度の取り組み

二年目となる今年度は、初年度の成果と課題を踏まえ、本格的にグループ全体を成長軌道に乗せていくための基盤を固める特に重要な一年となると考えています。
今年度も、全体の投資規模をコントロールしながら、積極的に投資を進めていきますが、急激に変化する事業環境の中で、適切な経営判断を行うためには、社外の有識者の経験に基づいた深い知見と幅広い見識を当社の意思決定に活かしていく必要があります。その機能として、専門知識を独立した視点で提供いただきCEOの戦略的な意思決定を支援する「アドバイザリーボード」を設置することにしました。また、海外の資本市場へのアクセスを強化し、機関投資家の層を拡大する事を目指した、国際会計基準への移行プロジェクトも今年度から本格化します。経理部を中心に、コーポレート部門、営業部門の双方が協力し、円滑な実現に向けて推進していく必要があります。

年頭の挨拶では、今年度の重要テーマとして、“人財”、“DX”、“安全”について触れました。
“人財”では、「Human Capitalビジョン」に従い、一人ひとりが強みを伸ばし能力を最大限に発揮できる環境整備を目指し、人事制度の改革に着手しました。事業領域の拡大に伴い、近年当社グループの組織も急速に拡大し、一緒に働く仲間も増えています。国籍や専門性の面でも人財の多様化が進んでおり、こうした変化に対応する新たな人事制度の整備が急務となりました。「BLUE ACTION 2035」の今後の成否を左右する大変重要なテーマですので、徹底的に議論を重ね、しっかりとした制度に仕上げていきたいと思います。また、よりよいオフィス環境をめざして、明日、虎ノ門本社15階に社員食堂「ライン」がリニューアルオープン、今夏には本社至近の虎ノ門ステーションタワー35階に新研修施設をオープンします。
“DX”では、「DXビジョン」において、2025年度までのデータのデジタル化と業務・組織の最適化を進め、デジタルを活用して社会課題を解決する企業グループへのトランスフォームを目指しています。「DXビジョン」の実現を強力に推進していくため、昨年11月に技術・デジタル戦略本部を設立し、傘下にDX共創ユニット、商船三井システムズ株式会社、技術部、海洋技術部、スマートシッピング推進部を配置しました。また、本日付で本部内をユニット制に変更するとともに技術・デジタル統括ユニットを新設し、「BLUE ACTION 2035」と連動した技術とデジタルの一体的な戦略を策定し、実行に移していきます。
“安全”は、常に当社グループの事業の最も重要な基盤であり、これまでも世界最高水準の安全品質をめざして努力を続けてきました。今年1月に「安全ビジョン」を発表し、当社グループの安全目標とあるべき姿を定めました。外部環境の変化、先進テクノロジーおよび当社グループの事業ポートフォリオの変化に適切に対応できる安全基盤を固めていきます。ありたい姿の実現に向け、具体的に機能の拡充と体制整備についての検討を進めていきます。

「BLUE ACTION 2035」の主要戦略の一つである地域戦略の進化も今年度の重要なテーマです。これまで地域戦略を推進するため試行錯誤をしてきましたが、先に述べた通り当社グループの強みを生かせる投資機会が世界各地に多くあります。推進体制の充実や管理機能の強化を中心に、より具体的かつ広い視野をもって地域戦略に取り組み、成果を出していきます。当社グループのグローバルな成長には、海外での新規事業開発が不可欠です。地域戦略のさらなる充実に向け、地域組織/営業組織/コーポレート組織のさらなる連携・協業を宜しくお願いします。

今年度は、クルーズ事業が大きな一歩を踏み出す特別な一年となります。当社グループは、「BLUE ACTION 2035」の中で、クルーズ事業を新たな成長分野と位置付け積極的に投資を進めていますが、クルーズ事業の新ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」が本格的に始動し、12月より全客室スイートキャビンを基本とするラグジュアリークラスのクルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」が営業運航を開始します。グループ全体で協力し、クルーズ事業の挑戦を応援し、「MITSUI OCEAN CRUISES」を盛り上げていきましょう。


最後に

当社グループは“グローバルな社会インフラ企業への飛躍”を掲げ「BLUE ACTION 2035」に取り組んでいますが、業績が順調に推移し、また将来の成長に向かってエネルギーに満ちた良好な状態で創業140周年を迎えられたこと、大変喜ばしく、また心強く思っています。当社グループの志・精神を再確認し、社会課題解決と当社グループのさらなる成長に向かって、新たな挑戦の歴史を刻んでいこうではありませんか。

最後になりますが、私たちの挑戦は、安全品質とコンプライアンスの順守という最も重要な基盤の上に成り立っています。これは、どのような事業環境においても揺るぎません。そのことを、この節目の日に改めて確認しておきたいと思います。私も充実した一年にするため老骨に鞭打つ覚悟で挑戦を続けていきます。皆さん、共に頑張りましょう。