2024年05月27日
株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)と、グループ会社である商船三井ドライバルク株式会社(社長:平田浩一、本社:東京都港区、以下「商船三井ドライバルク」)は、商船三井ドライバルクが運航する新造ばら積み船および多目的船 計7隻へウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置、註1)を含む風力推進補助装置を搭載する方針を決定しました。ウインドチャレンジャーは、既に竣工した搭載船「松風丸」において1日 最大17%の燃料節減およびGHG削減効果が確認されています*。
*ウインドチャレンジャーの燃料節減およびGHG削減効果は、搭載する船の船型・航路などの条件によって異なります(註2)。
本件により商船三井グループでは、ウインドチャレンジャー搭載船を9隻、合計で風力推進補助装置搭載船を11隻 有することとなります(註3)。
今回 風力推進補助装置の搭載を決めた商船三井ドライバルク運航船7隻のうち、新造ばら積み船6隻にウインドチャレンジャーを1本ずつ搭載する方針を決め、内3隻については大島造船所(社長:平賀英一、本社:長崎県西海市、以下「大島造船所」)と建造契約を締結し、残りの3隻についても、建造契約締結に向けた準備を行っています。加えて、商船三井ドライバルクが定期用船を予定している2025年竣工予定の新造多目的船(註4)1隻に対して、EconoWind B.V.(読み:エコノウィンド、本社 : オランダ)製の風力推進補助装置「ヴェントフォイル」(註5)2本を搭載することを決定しました。
商船三井は「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」を策定し、2050年までのネットゼロ・エミッション達成を目標に定めています。その達成に向けた主要戦略の1つに「さらなる省エネ技術の導入」を含め、ウインドチャレンジャー搭載船を2030年までに25隻、2035年までに80隻投入することを計画しています。
商船三井グループは、ウインドチャレンジャーを始めとした風力推進技術を組み合わせた環境対応船隊の安全な管理・効率運航を通じ、自社グループからのGHG排出削減のみならず、社会全体の低・脱炭素化に貢献してまいります。
(註1)ウインドチャレンジャーは、商船三井と大島造船所が中心となり開発した、伸縮可能な帆によって風力エネルギーを船の推進力に変換する装置です。詳しくは、次世代帆船(ウインドチャレンジャー)|商船三井(MOL)サービスサイト (mol-service.com)もご参照ください。
(註2)今回ウインドチャレンジャーの搭載方針を決めた6隻については、帆1本の搭載により、年平均 約7~16%の燃料節減・GHG削減効果が見込めます。ウインドチャレンジャー搭載予定船の一部には、Anemoi Marine Technologies(読み:アネミイ マリン テクノロジーズ、本社:英国)製の風力推進補助装置「ローターセイル*」の搭載も検討しており、両技術を併用した場合には年平均 約15~28%の燃料節減・GHG削減効果が見込めます。
*ローターセイルは、航行中 回転している筒状のローターに風が吹き込み、ローター周りに圧力差が生じることで推進力を得ます。この推力は風向に対して直角に発生するため、ローターの回転方向を変えることによって、船首尾方向以外からの風を常に船舶の推力に活かすことができます。
〈今回 風力推進補助装置の搭載予定を発表した7隻の内訳〉
船種 | 隻数 | 搭載する風力推進補助装置 | 燃費節減・GHG削減効果(年平均) | ステータス | 竣工予定 |
---|---|---|---|---|---|
ばら積み船 | 3隻 | ウインドチャレンジャー1本/隻 (+ローターセイル複数本搭載も検討) |
航路等の条件によって約7~16%/隻 (ローターセイル3本併用の場合約15-28%) |
2024年4月5日に建造契約締結済 | 2026年下期~2027年上期 |
ばら積み船 | 3隻 | ウインドチャレンジャー1本/隻 | 航路等の条件によって約7~16%/隻 | 建造契約締結に向け準備中 | 2027年~2028年 |
多目的船 | 1隻 | ヴェントフォイル2本/隻 | 約2%/隻 | 2024年10月に用船契約締結予定 | 2025年1月 |
(註3)
搭載する風力推進補助装置 | 船種・隻数 | 関連プレスリリース |
---|---|---|
ウインドチャレンジャー | 100型石炭輸送船1隻 (2022年10月竣工済) |
2022年10月7日 「世界初のウインドチャレンジャー搭載石炭輸送船「松風丸」の竣工について」 2024年5月15日 「世界初のウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)搭載石炭輸送船「松風丸」で最大17%の燃料節減を達成」 |
64型ウルトラマックス ばら積み船1隻 (2024年6月竣工予定) |
2022年8月10日 「ウインドチャレンジャー搭載船2隻目のばら積み船建造契約を締結」 |
|
90型石炭輸送船1隻 (2025年改造完了予定) |
2024年5月24日 「ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を電源開発向け石炭輸送船に搭載~世界初の既存船への改造工事搭載~」 |
|
42型ハンディサイズ(3隻) / 58型ハンディマックス(3隻) ばら積み船計6隻 |
本件 | |
ローターセイル | 200型鉄鉱石輸送船1隻 (2024年改造完了予定) |
2023年3月8日 「ヴァーレ社とばら積み船への風力推進補助装置“ローターセイル”搭載を決定」 |
ヴェントフォイル | 17.5型多目的船1隻 | 本件 |
(註4)多目的船は、鋼材・建機・重機・プラント・鉄道車両・ばら積み貨物等を輸送する船を指します。
(註5)ヴェントフォイルは、飛行機の翼形状の帆を本船デッキ上に設置し、吹き込む風により発生する揚力を船の推進力として活用する装置です。風向に合わせて帆の向きを変えることで船首尾方向以外からの風を利用でき、また、内部の吸気装置で翼表面の空気を吸入することで揚力を増幅させ、その結果、推進力を増加させることができます。
商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。
本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。