2024年09月26日
株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、船からのビッグデータを活用したプロジェクト『FOCUS』の一部として、推進性能の劣化を追跡するアプリケーション『Fouling Analysis』をリリースしました。このアプリケーションは、船舶の水面下に付着する海洋生物による生物汚損(Fouling)の状態・原因を詳細に解析し、最適なメンテナンス(運航中の船底クリーニングや入渠時の塗装工事など)を提案します。また、このアプリケーションの活用により、生物汚損による推進性能の劣化が引き起こす無駄な燃料消費を削減し、GHG排出量の削減に貢献します。
Fouling Analysisでは、数分間隔で収集された船のセンサーデータと、竣工後から毎日記録されている航海データを活用し、当社独自のノウハウで汚損の状態・原因の解析を行います。船齢が高い船でも、竣工から現在までの推進性能の劣化をモニタリングすることが可能です。
さらに、停船状況、船底塗料情報、植物プランクトンの濃度、3D船底表面写真およびその分析結果を照らし合わせることで、性能劣化の原因分析や船底防汚塗料の評価が可能となります。蓄積されたデータおよびその分析結果を基に、最適なクリーニングの実行、船の運航に合わせた最適な船底塗料の選定、質の高い塗装工事を実行することで、推進性能の劣化を抑え、無駄な燃料消費の無い効率的な船舶運航を実現します。
尚、3D船底表面写真からは汚損エリアやその面積等を算出することができます。最適な塗料の選定、塗装業者の技術の評価、エリア毎の最適な塗膜、塗装仕様の最適化等に加え、推進性能劣化の解析結果の精度確認にも活用されています。
このアプリケーションは、グループの船舶管理会社であるMOLシップマネージメント株式会社(代表取締役社長:今井章景、本社:東京都港区)の知見を含んでおり、当社が運航する約500隻の船舶のメンテナンス計画に活用されています。現在はAIを活用した、更に高精度な分析モデルを開発中で、最適なメンテナンス計画の策定能力をさらに進化させ、船舶管理の品質向上を通じてGHG削減に貢献します。
当社グループは経営計画「BLUE ACTION 2035」を支える基盤整備として「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進しています。2023年3月には、目指す姿を現した「商船三井グループ DXビジョン」とその実行計画「商船三井グループ DX Action 1.0」を策定しました。デジタルを活用し、会社の生産性を改善、業務・組織の最適化を進め、それによって生み出された時間を価値創造業務や安全・環境への取り組みに転換していくことで、社会の未来を創ることを目指しています。
商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Safety & Value -安全輸送・社会インフラ事業を通じた付加価値の提供-」、「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。