2025年01月24日
株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)のグループ会社であるMOL ENERGIA PTE. LTD. (マネージング・ダイレクター:小倉 美樹、本社:シンガポール)は、タイ素材最大手のサイアム・セメント・グループ社(以下「SCG社」)の完全子会社であるSCGケミカルズ社(本社:タイ、以下「SCGC社」)との間で、新造液化エタン専用船(Very Large Ethane Carrier、以下「VLEC」、註1)3隻の長期用船契約を1月23日に締結しました。本船は、SAMSUNG HEAVY INDUSTRIES CO., LTD.(三星重工業、本社:韓国)にて建造予定の10万立方メートルのVLECで、2027年に竣工予定です。また、エタン二元燃料推進機関を搭載しており、従来の重油燃料船と比較し温室効果ガス、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出を抑制できる仕様としています。
尚、現在世界で竣工または発注済の約90隻の液化エタン専用船のうち、本契約により当社グループが管理・運航するVLECは12隻となります。
当社グループは、2014年に世界で初めてVLEC事業に参画(註2)して以来、VLEC管理・運航のリーディングカンパニーとして着実に安全・安定輸送の実績を積み重ね、お客様から高い信頼を得てきました。SCGC社は、ベトナムに保有するアジア最大級の最新鋭石化プラントにて、米国産エタンを活用し製品製造の市場競争力を高めるため、エタン輸入を決定しています。SCGC社は、エタン輸送船の確保にあたり、当社グループのこれまでのVLEC事業の実績を高く評価し、当社グループを戦略的事業パートナーとして選定し、この度の長期用船契約締結に至りました。当社が同社向け液化エタン輸送を担うことで、ベトナムおよびタイの石化産業の競争力強化、並びに同地域の経済成長に貢献します。
今後も拡大が見込まれるエタン輸送需要に応えるべく、VLEC事業のさらなる拡大、LNG輸送をはじめとする液化ガス事業で培われた高度な安全運航管理体制を活かした安全で確実な海上輸送サービスの提供に努め、地域経済の発展に貢献するとともに、グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」で掲げる長期安定利益の積み上げを実現して参ります。
(註1) VLECとは約80,000m3以上の積載能力を有しマイナス約92度の液化エタンを輸送するための専用船。
エタンは、天然ガス中でメタンの次に多く含まれる成分で、含有量はガス田によるものの、天然ガスに占めるエタンの割合は5~20%程度。基礎化学品であるエチレンの、温室効果ガス排出量の少ない精製原料として利用されている。
(註2) 2014年12月25日付プレスリリース「インド・リライアンス社と液化エタン長期海上輸送契約を締結~世界初の大型エタン専用船6隻に関与~」をご参照ください。
【本船概要】
主要寸法 | 全長230m、船幅36.6m、満載時喫水11.9m |
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貨物艙・容量 | GTT Mark IIIメンブレン、100,000m3 |
推進機関 | 二元燃料(重油・エタン)ディーゼルエンジン |
造船所 | 三星重工業巨済造船所 |
竣工予定 | 2027年 |
【SCGC社の概要】
社名 | SCG Chemicals Public Co., Ltd |
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代表者 | 社長兼CEO Sakchai Patiparnpreechavud |
会社説明 | SCGC社は、1983年設立のタイ最大級総合石油化学企業。東南アジア最大級の産業コングロマリットの一つであるSCG社の子会社であり、SCG社における中核企業。SCGC社は、ベトナム、インドネシア、タイに戦略拠点を持つASEANの主要な統合化学企業であり、オレフィンの上流生産からポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルの3つの主要プラスチック樹脂の下流生産まで、幅広い石油化学製品を提供しています。 SCGC社のHP:https://www.scgchemicals.com/en/home |
商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Safety & Value -安全輸送・社会インフラ事業を通じた付加価値の提供-」「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。