2019年02月25日
株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)は、Pavilion Gas Pte Ltd(社長:フレデリック・バーナウド、本社:シンガポール、以下「PGPL社」)と、世界最大の燃料供給拠点であるシンガポールで運航されるアジア最大の12,000m3型LNG燃料供給船(以下、「本船」)の長期傭船契約を締結しました。
船舶燃料としてのLNGは、2020年1月から始まる船舶の硫黄酸化物(SOx)排出規制強化(註1)に伴い、世界的に需要が増大すると見込まれているため、シンガポールの海事港湾庁(MPA)は、LNG燃料を供給するインフラの整備に力を入れ、LNG燃料の供給港としても最大の拠点となるべく政策を掲げています。
また日本政府も、2016年にシンガポールを含む7か国と「LNGを船舶燃料として開発するための協力に関する覚書」を締結して、シンガポールとLNG燃料の活用や枠組み作りに協力しています。
当社は、民間レベルでも協力体制を強化すべく、PGPL社とともにプロジェクトを進め、本船の建造を同国Sembcorp Marine Groupの造船子会社であるSembcorp Marine Specialised Shipbuilding Pte Ltd社に発注し、船舶管理のパートナーとして同国の大手燃料バージ会社であるSinanju Tankers Pte Ltdを起用します。本船は2021年前半にPGPLに引き渡された後にシンガポールで2隻目となるLNG燃料供給船としてサービスを開始する予定です。
当社は、2017年4月にLNG等の代替燃料船への取組みの加速、LNG等燃料供給事業への参入を一元的に取り扱う燃料部を新設しました。シンガポール以外の地域では、昨年2月に北ヨーロッパでサービスを提供するTotal Marine Fuels Global Solutionsと世界最大となる18,600m3型LNG燃料供給船の長期傭船契約を締結(註2)。また国内では、今年4月に大阪湾でLNG燃料タグボート「いしん」(註3)を就航させる予定です。今後も環境負荷低減のため、LNG燃料供給インフラの整備やLNG燃料船の普及に向けたプロジェクトを推進します。
コンテナ船にLNG燃料を供給する本船のイメージ図
Pavilion Energyは、シンガポール政府が所有する投資会社であるテマセク・ホールディングス100%子会社です。総合エネルギー企業として、国際的なトレーディングのみならず、最上流への投資、調達、最適化、ヘッジ、金融商品に関わっています。Pavilion Gas Pte LtdはPavilion Energyの100%子会社で、シンガポール政府が発給するLNG燃料供給ライセンスを保有する2社のうちの1社です。 シンガポール国内での天然ガス及びLNGの販売に加えて、近年ではLNGのトレーディングに注力しています。
【本船概要】
全長 | 約112m |
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全幅 | 約22m |
LNGタンク | メンブレン方式(GTT社Mark III) |
造船所 | Sembcorp Marine Specialised Shipbuilding |
タンク容量 | 12,000m3 |
主機関 | 電気推進Azimuth Thruster 2基 |
航海速力 | 11.5ノット |
船籍 | シンガポール |
その他 | 燃料タンクから発生するボイルオフガスを再液化して利用可能 |
(註1)国際海洋機構(IMO)が大気汚染防止を目的として、船舶の排気ガス中に含まれるSOx量を抑制する為、燃料油に含まれる硫黄分含有率を規制するもの。2020年以降、現行の3.5%以下から0.5%以下に厳格化される。
主な対応策としては、①船内排気浄化設備(スクラバー)搭載②規制適合油の使用③LNG燃料などがある。
(註2)詳細は以下プレスリリースをご参照ください。
2018年2月6日付プレスリリース「トタルと商船三井が先駆者的なLNG燃料供給船の長期傭船契約を締結」
(註3)詳細は「いしん」に関する最新プレスリリースは以下をご参照ください。
2019年1月31日付プレスリリース「LNG燃料タグボート「いしん」関西初のLNG燃料補給」