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主機のデジタルツインモデルに関する共同研究を開始

2020年02月27日

船舶維新 ISHIN NEXT

株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)と、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(理事長:大和裕幸、所長:宇都正太郎、本所:東京都三鷹市、以下「海上技術安全研究所」)は、「主機のデジタルツインモデルに関する共同研究」を行っていくことで合意し、契約を締結しました。

本研究では、主機の運転状態の見える化を推進するため、商船三井の運航船より収集した実海域運航データを用いて、2サイクルディーゼル主機のデジタルツインモデル(註1)を共同で開発・検証します。

主機デジタルツインモデルの開発により、運航中に把握することが困難な主機状態量(掃気量・排気ガス熱量など)を可視化し、主機の運転状態や経年劣化度合の推定を高精度化することを目指します。既存のセンサー計測値から得られる情報を、より多面的に捉えることで、故障予兆診断技術(註2)の精度向上に加え、状態基準保全手法(註3)の確立に貢献します。さらに荒天航行時などで、主機が非定常状態にある際の主機関性能も高精度に把握することが可能となり、トルクリッチ(註4)の防止やトルク変動の抑制など最適で安全な運転へと繋げます。

商船三井は、2016年11月に発表した「船舶維新NEXT~MOL SMART SHIP PROJECT~」の掲げる高度安全運航支援・環境負荷低減を推進すると共に、ICT技術を利活用したサービス向上を通じ、物流のビジネスパートナーとしてお客様に選ばれる企業グループを目指します。

デジタルツイン技術の適用による主機バーチャルモデルと主機状態計算のイメージ図(提供:海上技術安全研究所)

(註1) デジタルツイン技術 – 物理世界の出来事をデジタル上にリアルタイムで再現する手法。システム上に双子のようなシミュレーション空間を構築し、設計変更や個別カスタマイズによる最適化や状態診断・故障予兆などに用いられる。

(註2) 商船三井におけるこれまでの機関故障予兆診断技術に関わる取り組みについては以下のリリースご参照。
2015年10月8日付プレスリリース「機関の予防保全・ライフサイクルコストの低減にビッグデータを活用~次世代型機関状態監視システムの実船試験を開始~
2017年7月19日付プレスリリース「機関プラントの予防保全・ライフサイクルコストの低減にビッグデータを活用~次世代型機関状態監視システムを、機能を拡張し実船に搭載~
2019年12月24日付プレスリリース「次世代型機関故障予兆診断アプリケーションの共同検討を開始~『Fleet Guardian』の開発で本船のダウンタイム撲滅を目指す~

(註3) 状態基準保全 - 従来の一定期間毎に保守をする時間基準保全と異なり、装置や部品を監視し、保守が必要となる可能性の高い部位を分析・特定の上で適切なタイミングで保守する手法。

(註4) トルクリッチ - 船体の汚損や主機の汚損などが原因で主機の回転速度が低下し、主機の負荷が過度になる現象。