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砕氷LNG船が日本に初入港
~ロシア「最果ての地(ヤマル)」から北極海航路を経て日本へ~

2020年07月27日

株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下、「当社」)と中国遠洋海運集団有限公司(China COSCO Shipping Corporation Limited、以下「China COSCO Shipping社」)の合弁会社が保有し、当社が船舶管理・運航するロシア・ヤマルLNGプロジェクト向け砕氷LNG船“VLADIMIR RUSANOV”(”ウラジミール・ルサノフ“、以下「本船」) (*1)が、7月23日に東京湾・扇島のLNGターミナルに初入港しました。砕氷LNG船(*2)が日本に入港するのは、史上初めてのことになります。

本船は、ロシア・サベッタ港のヤマルLNG出荷基地を6月29日に出航した後、カラ海・ラプテプ海・東シベリア海・チュクチ海の順に北極海航路を東側に向けて航行し、ベーリング海峡を経由して日本までLNGを輸送しました。本船が北極海航路を航行した6月末~7月初旬は海氷の融解が進む時期ですが、東シベリア海を中心に氷海域が残っており、本船は海氷を避航、若しくは砕氷しながら航海を行い、約7日間(平均15ノット)でサベッタ港からベーリング海峡までの北極海航路区間を航行しました。

本船の航路図
北極海航路上での本船の航跡

ロシア北極圏からの北極海航路を通じた輸送は、スエズ運河経由に比べて航海距離を約65%短縮でき、温室効果ガスの排出削減にも寄与するものです。また、北極海航路を活用して天然資源を輸送することで、日本をはじめとするアジアの天然資源輸入各国への新たな資源供給ルートを確立できます。

当社は、ヤマルLNG出荷基地からの安定的なLNG輸送に貢献していくと同時に、同プロジェクトを通じて北極海航路運航におけるさらなるノウハウ(*3)を蓄積し、今後新たに立ち上がりが期待される北極圏プロジェクトにも貢献できるよう積極的に取り組みます。

北極海航路の様子(7月4日東シベリア海)
北極海航路輸送に従事する本船乗組員
東京湾・扇島に入港した本船

(*1) 詳細は2018年3月29日付プレスリリース「ロシア・ヤマルLNGプロジェクト向け砕氷LNG船“VLADIMIR RUSANOV”が積地サベッタ港で初荷役を実施」をご参照ください。

(*2) 砕氷LNG船の詳細な特徴に関しては、以下をご参照ください。

砕氷船は氷海を進むときは後進できるなど、氷海航海に対応した様々な特徴があります。

1.ダブルアクティングLNG船 最大砕氷能力2.1m(後進時)
2.砕氷補強船殻 船殻重量 25%増, アイスナイフ板厚 70mm, 低温鋼種, 砕氷塗料
3.機関室設計 完全ダブルハル構造, 左右分離隔壁,  海水取水口(アイスシーチェスト)
4.船橋(操船ステーション) 二重操船ステーション(完全閉囲型), 極海仕様操船設備(アイスレーダー、高輝度サーチライト、赤外線式暗夜カメラ、イリジウム無線通信設備、等)
5.居住区防寒対策 3系統暖房システム, サウナ・温水プール
6.甲板上凍結防止・防寒対策 天上屋根付き係船区画, 電動駆動機器, ヒートトレース, 蒸気解氷ノズル
7.救命設備 極海仕様救命設備, サバイバルキット

(*3) 当社取り組みの詳細は、2019年6月7日付プレスリリース「北極海航路輸送強化に向けた新たな取り組み」をご参照ください。