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「PBCF」プロペラ効率改善装置が3,500隻超の販売実績を達成
3~5%の燃費削減効果、既存船の燃費規制対策にも貢献

2020年12月09日

船舶維新 ISHIN NEXT

株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)のグループ会社である商船三井テクノトレード株式会社(社長:八田宏和、本社:東京都中央区、以下「商船三井テクノトレード」)が販売するプロペラ効率改善装置「PBCF」(Propeller Boss Cap Fins)が、累計3,500隻超の販売実績を達成しました。

「PBCF」は、プロペラ後方に発生するハブ渦の損失エネルギーを回収することでプロペラ効率を改善させる装置(非搭載船比の省エネ効果:3~5%減)です。燃費向上によって温室効果ガスの排出量を削減し、環境負荷低減に寄与します。

「PBCF」は商船三井、(株)西日本流体技研、ミカドプロペラ(株)(現在はナカシマプロペラ(株)が吸収合併)が共同開発し、1987年に販売を開始しました。国内船主を中心に採用実績を重ね、2006年に受注1,000隻を達成。燃料価格の高騰およびCO2排出量削減に向けた世界的な意識の高まりを背景に、海外の船主・運航者にも幅広く「PBCF」が認められたことにより、2011年には2,000隻、2015年には3,000隻を超える受注を達成しました。これまでの累計で約4,200万トンのCO2排出量削減に貢献したと算出しています。

2017年には、商船三井、商船三井テクノトレード、(株)三井造船昭島研究所の3社が共同開発した、省エネ効果を向上させた改良型PBCFを販売開始し、既に300隻超の採用を達成しています。さらに現在は、プレ・スワールフィンや省エネ舵等、他省エネ装置とのハイブリッド化の研究を進めており、実船の流場を再現した模型試験(スマートウェークシップ方式)において相乗効果を確認するなど、日々進化を重ねています。

2020年6月には、一般社団法人日本物流団体連合会が選定する「第21回物流環境大賞」(註1)の物流環境負荷軽減技術開発賞を受賞。環境に優しい装置として世界中で認知され、環境負荷低減に貢献したことが、高く評価されました。

2023年1月から、既存船を対象とした燃費規制が導入される見通しとなり、既存船は新造船並の燃費性能が義務づけられ、これを満たさない場合は国際海運に投入できなくなります。「PBCF」は、ボルトのみでプロペラに固定され、極めて簡単に装着が出来ること、また、可動部が無く装着後のメンテナンスも不要であることなどから、既存船の燃費規制対策にも貢献します。

商船三井グループは、今後も「環境・エミッションフリー事業」を推進・育成し、世界各地・各港の環境保全に寄与していくとともに、「船舶維新NEXT ~MOL SMART SHIP PROJECT~」(註2)を通じて、"安全運航"と"環境負荷低減"技術を深化させていきます。

他省エネ装置とのハイブリッド化試験
プロペラに装着した「PBCF」(写真の赤丸)

(註1) 2020年6月12日付プレスリリース「『PBCF』プロペラ効率改善装置が物流環境負荷軽減技術開発賞を受賞

(註2) 2016年11月24日付プレスリリース「『船舶維新NEXT ~MOL SMART SHIP PROJECT~』発足