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神戸製鋼所と共同で「舶用バイナリー発電システム」の長期実船適用試験を開始
-エネルギーの有効活用により、船舶からの温室効果ガス排出量を削減-

2020年12月17日

船舶維新 ISHIN NEXT

株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)は、株式会社神戸製鋼所(社長:山口貢、本社:兵庫県神戸市、以下「神戸製鋼所」)と共同で進めている舶用バイナリー発電システムの研究開発に関し、春山海運株式会社(社長:今岡貴廣、本社:愛媛県今治市)が保有し、商船三井が用船する新造VLOC(Very Large Ore Carrier;本年10月28日竣工)に舶用バイナリー発電システムを搭載しました。

本プロジェクトでは舶用バイナリー発電システムを初めてVLOCに適用し、実海域での航行条件における本装置の性能や耐久性の確認を行います。

搭載した舶用バイナリー発電システムは、従来、殆ど利用されていなかった船舶の主機の掃気冷却に伴う廃熱を熱源とし、水より沸点の低い作動媒体を加熱、蒸発させ、その蒸気でタービンを回す事で、最大約100kWの発電が可能です。発電した電力は船舶における動力の補助電源などに有効活用する事で、発電機エンジンのCO2排出量及び燃料の削減に貢献します。

これまで商船三井はISHIN-Ⅲ(註1)の要素技術として様々な排熱回収システムに取り組んできましたが、中低温も電力として回収可能なORC(Organic Rankine Cycle)(註2)を積極採用することで船舶推進機関の廃熱回収の更なる可能性を見出します。

本件は「船舶維新NEXT ~MOL SMART SHIP PROJECT~」(註3)の一環と位置付け、開発を通して得られる知見やノウハウをさまざまな船種に生かし、船舶の環境負荷低減に積極的に取組みます。

システムのイメージ図

(註1) 主機関の排熱エネルギーを回収し、推進力を最大限にアシストする構想。
https://www.mol.co.jp/sustainability/technology/history/ishin/index.html

(註2) 有機ランキンサイクル。沸点の低い媒体を用いてタービンを回す、小さな温度差でも電力として回収出来るシステム。

(註3) 商船三井の技術開発プロジェクト。詳細は2016年11月24日付プレスリリース「『船舶維新NEXT ~MOL SMART SHIP PROJECT~』発足」をご参照ください。