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船舶によるCO2大量輸送に向け、大型液化CO2輸送船の研究開発を開始
日本CCS調査からNEDO事業の一部を受託

2021年06月22日

株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、日本CCS調査株式会社(代表取締役社長:中島俊朗、本社:東京都千代田区、以下「JCCS」)が国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)から委託される事業の一部、大型液化CO2輸送船の社会実装に関する研究開発について受託する事となりました。当社は本研究開発により、大型液化CO2船の基本的な設計を完了させる予定です。

2019年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成⻑戦略としての⻑期戦略」では、化⽯燃料の利⽤で排出されたCO2を⼤幅に低減していくための⼿段としてCCS(Carbon Capture and Storage)・CCU(Carbon Capture and Utilization)、カーボンリサイクルの役割の重要性が明記されています。その社会実装にあたりCO2排出源と貯留地が離れていることに伴うCO2の輸送の課題を指摘し、CO2を安全にかつ低コストで輸送するための適切な事業設計を作り出す必要があるとしています。

NEDOは2030年頃のCO2回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon Capture, Utilization and Storage)技術の社会実装を視野に、工場や火力発電所から排出されたCO2を活用地や貯留地まで低コストで大量・安全に輸送するための研究開発及び実証事業に着手すべく、2021年3月31日「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験」(以下「本実証プロジェクト」)の公募を開始。JCCS、一般財団法人エンジニアリング協会、伊藤忠商事株式会社、および日本製鉄株式会社が共同で応募し、この度、採択されました。本実証プロジェクトの中で、JCCSがNEDOから委託される事業の一部、大型船社会実装に関する研究開発について、JCCSは当社へ再委託します。当社は本実証プロジェクトへの参画を通じ、低・脱炭素社会実現へ貢献します。

当社はラルビック・シッピング社への出資により液化CO2海上輸送事業に参入しており、本実証プロジェクトへの参画を加え、液化CO2輸送への取組みを更に加速させ、「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」で掲げる2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成を目指します。

【図 本実証プロジェクト概念図(出典:NEDO)】

本実証プロジェクト概要

(1) 事業名 CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験
(2) 研究開発項目
  • 液化CO2の船舶輸送技術を確立するための研究開発
  • 年間1万トン規模のCO2船舶輸送実証試験
  • CCUSを目的とした船舶輸送の事業化調査
(3) 事業期間 2021~2026年度(予定)
(4) NEDO委託予定先 JCCS、エンジニアリング協会、伊藤忠商事、日本製鉄
(5) JCCSから当社への再委託事業 大型液化CO2船社会実装に関する研究開発



【JCCS概要】

社名:日本CCS調査株式会社
設立:2008年
代表者:中島俊朗
所在地:(本社)東京都千代田区 (苫小牧CCS実証試験センター)北海道苫小牧市
事業内容:CO2の分離・回収、利用、輸送及び地中貯留技術の調査、研究開発、事業化調査、実証試験

当社CCUS事業案件
2020年12月:豪州洋上CO2回収貯留ハブ・プロジェクト(deepC Store)に参画
2021年3月:ノルウェー Larvik Shipping社へ出資、液化CO2海上輸送事業へ参画
2021年5月:リトアニア Klaipeda港における液化CO2輸出インフラストラクチャ及び水素生産プロジェクトの共同検討に関する覚書を締結
2021年6月:国際的シンクタンクに参画し、CO2回収・再利用・貯留事業の展開加速を目指す