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液化CO2輸送船のコンセプトスタディを完了

2021年11月04日

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、三菱重工グループの三菱造船株式会社(社長:北村徹、本社:横浜市西区、以下「三菱造船」)と協働し、液化CO2輸送船(以下、「LCO2船」)について、将来的に形成されていくであろうLCO2船マーケットにおいて主流となり得る船型のコンセプトスタディを完了しました。

LCO2船イメージ図

LCO2船は、低・脱炭素社会を実現する手段の一つとして注目されているCCUS(Carbon dioxide Capture Utilization and Storage)のバリューチェーンの中で、回収し液化したCO2を貯留地、もしくは有効利用地へ効率的に輸送する手段の一つとして重要な役割を担います。CCUSは、国際エネルギー機関(IEA)のレポートに拠れば、2070年迄の累計CO2削減量の15%を担い、カーボンニュートラル達成時に約69億トン/年のCO2削減貢献が期待されています。

当社は三菱造船と、将来的なLCO2輸送需要に応える為、船型について検討を重ねた結果、最も有効で実用的と考えた複数船型のコンセプトスタディを完了しました。輸送する貨物量に柔軟に対応できるよう、50,000m3前後までのカーゴタンク容量を想定し、異なるタンクの圧力設定を考慮しました。

当社は今後これらの船型をベースに、バリューチェーン全体を踏まえた顧客ニーズに柔軟に対応すべく、難易度の高い大型LCO2船の実現化や、バラエティのある船型の検討に引続き取り組んでいきます。また液化CO2輸送における課題を乗り越え運航の知見を蓄積する為に、当社は日本の海事クラスターと共に開発する事を通じて低・脱炭素社会実現へ貢献します。

当社は2021年3月、欧州で産業向けLCO2船を30年以上管理するラルビック・シッピング社(Larvik Shipping AS、本社:ノルウェー、以下「LS社」)への出資により、液化CO2海上輸送事業に参画しました。当社がこれ迄培ってきた安全運航の知見とLS社のノウハウと実績を合わせ、顧客ニーズに沿ったLCO2船の実現に向けて検討を継続し、グローバルに液化CO2海上輸送事業の更なる発展に貢献します。

当社は「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」において「2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成」を中長期目標として掲げ、その実現に向けて5つの戦略で臨みます。液化CO₂輸送事業を通じ、社会のGHG排出削減に貢献していきます。

当社CCUS事業案件

2020年12月:豪州洋上CO2回収貯留ハブ・プロジェクト(deepC Store)に参画
2021年3月:ノルウェーLarvik Shipping社へ出資、液化CO2海上輸送事業へ参画
2021年5月:リトアニアKlaipeda港における液化CO2輸出インフラストラクチャ及び水素生産プロジェクトの共同検討に関する覚書を締結

2021年6月:国際的シンクタンク(Global CCS Institute)に参画し、CO2回収・再利用・貯留事業の展開加速を目指す
2021年6月:船舶によるCO2大量輸送に向け、大型液化CO2輸送船の研究開発を開始~日本CCS調査からNEDO事業の一部を受託~
2021年6月:アジアCCUSネットワーク発足時サポーティングメンバーに加入
2021年7月:「CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」、カーボンリサイクルメタンが船舶のゼロエミッション燃料になりうることを確認 ~メタネーション技術によるゼロエミッションを目指した取り組みが学会誌に掲載~




【LS社概要】
法人名:Larvik Shipping AS(ラルビック・シッピング社)
設立:1988年
代表者:John Espen Tollevik
所在地:ノルウェー、ラルビック(ノルウェー法人)
事業内容:液化CO2船及び多目的貨物船、乾貨船の船舶管理業


【三菱造船概要】
法人名:三菱造船株式会社
設立:2018年
代表者:社長 北村徹
所在地:横浜市西区
事業内容:海洋システムインテグレーション、フェリー、貨客船、RORO船、特殊船、巡視船等船舶の設計、製造及び修理