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邦船社初 最新型の環境に配慮したメタノール燃料船が竣工 ~”Capilano Sun“はメタノール燃料に水を混ぜることで燃焼温度を調整して窒素酸化物の排出を抑制する~

2021年11月05日

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)が運航する環境負荷の低いメタノールと重油の2元燃料に対応可能なメタノール専用船“Capilano Sun(読み:キャピラノ サン、以下「本船」)”が11月4日、現代尾浦造船(社長:H.D. Shin、本社:韓国蔚山市)にて竣工しました。本船は、久福汽船(社長:山根近、本社:広島県尾道市)から用船し、当社からWaterfront Shipping Company Limited(社長:Paul Hexter、本社:カナダ・バンクーバー、以下「WFS社」)向けに長期貸船されます。

当社は、世界最大級のメタノール専用船隊18隻(本船含む)を運航しており、環境負荷の低いメタノールを燃料とする2元燃料船について2016年から保有し、船隊を拡大してきました。現在、世界で就航しているメタノール2元燃料タンカー13隻のうち本船を含めて4隻を当社が運航しています。

メタノール2元燃料船は、従来の舶用燃料を燃焼した場合に比べ、メタノール燃焼時の硫黄酸化物(SOx)排出量を最大99%、粒子状物質(PM)排出量を最大 95%、窒素酸化物(NOx)排出量を最大80%、二酸化炭素(CO2)排出量を最大 15%削減することができます。本船は、メタノール燃料に水を混ぜて燃焼温度を調整する新技術を採用し、NOx 3次規制(註1)を脱硝装置なしでも満たす事ができる最新型の低エミッション船です。

「環境循環型メタノール輸送事業」

また将来的には、当社が推進するCO2の回収・輸送事業を活用し、洋上風力発電や波力発電など再生可能資源由来の電力を利用した水素と合成することで、環境循環型のメタノールの生産が可能になります。更にそれを燃料として利用・供給することで、排出される正味のCO2を削減することが可能です。(左図参照)

当社は、「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」(註2)に則り環境課題に向き合い、世界最大級のメタノール専用船保有船社として、これまでに培ってきた経験、ノウハウを生かし、幅広い顧客のニーズに応えることで、メタノール輸送サービスのさらなる拡充に取り組むとともに、引き続き環境負荷低減に資するあらゆる技術の導入に積極的に取り組んでいきます。(図1)

WFS社関連の当社の取り組みについては、過去プレスリリース(註3)をご参照ください。

本船仕様
全長:186.07m
全幅:32.30m
DWT:49,999MT
船舶管理会社:MOL Tankship Management

(図1)

(註1) IMO(International Maritime Organization:国際海事機関)が定める船舶航行時のNOx排出量削減に関する第3次規制で、2016年に第1次規制前から80%の削減を求めるもの。

(註2) 商船三井グループ環境ビジョン 2.1
https://mol.disclosure.site/ja/themes/101

(註3) WFS社関連過去プレスリリースは以下をご参照ください。
- 2020年12月7日付
「WFS社向けメタノール専用船の長期定期貸船契約および新造船建造契約に合意」
- 2021年10月28日付
「Methanex と商船三井との戦略的パートナーシップ構築に向けた正式契約を締結」