トップページ > プレスリリース 2023年 > 沖縄県久米島における海洋温度差発電の実証事業が環境省事業に採択 ~2026年頃までに世界初の海洋温度差発電の商用化を目指す~

沖縄県久米島における海洋温度差発電の実証事業が環境省事業に採択
~2026年頃までに世界初の海洋温度差発電の商用化を目指す~

2023年03月24日

株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)が株式会社ゼネシス(代表取締役社長:福島賢一、本社:東京都江東区、以下「ゼネシス」、註1)および国立大学法人佐賀大学(以下「佐賀大学」、註1)と共同で取り組む、沖縄県久米島での海洋深層水を活用した海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion、以下「OTEC」)の商用化に向けた実証事業(以下「本実証事業」)が、環境省の令和4年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に採択されました。

当社は2022年4月より、ゼネシスが維持管理を行う沖縄県海洋温度差発電実証試験設備(図1)の運営に佐賀大学および久米島町とともに参画しており、国内で唯一存在するOTEC実証設備への運営参画を通じてOTEC運営ノウハウを蓄積するとともに、世界初となるOTECの商用化を2026年頃に1MW級の規模で実現させることを目指しています。

本実証事業は、2022年度から2024年度の期間において、200kW発電相当分の大型・並列式チタン熱交換器の製造と性能検証等を実施し、OTECの商用化に向け海水からの大規模熱回収技術の確立を目指します。

(図1)沖縄県海洋温度差発電実証試験設備(久米島町)

OTECは、海面における表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組みで、水深600m以深の海域から海洋深層水を汲み上げ、表層水との温度差でエネルギーを取り出すものです。気象に大きく左右されないため、24時間安定的に発電が可能で、発電量を予測できることが特徴です。さらに、発電で使用した海洋深層水でも十分低温であり、水質も変化しないため、水産や農業、空調利用など、様々な分野で二次利用することができ、持続可能な発電システムとして注目されています。
OTECは、国内およびハワイや韓国、ナウル共和国などでも研究が進んでいるものの、まだ商用化には至っていない電源です。当社は、これまで海洋事業を通じて培った知見やノウハウ、およびサプライチェーンのネットワークを活かし、沖縄県海洋温度差発電実証試験設備の運営、モーリシャスにおけるOTEC実証要件適合性等調査(註2)、本実証事業を通じて、国内外においてOTEC発電を早期に事業化することを目指します。

海洋深層水を地域資源としてOTECや水産分野等へ複合利用することは「久米島モデル」とも呼ばれ、沖縄県久米島町にて脱炭素社会と地域循環共生圏の実現に向け、10年以上に渡る地道な取り組みが続けられています。OTECの商用化は、久米島の再生可能エネルギーによるエネルギー自給率の向上に関する施策(久米島町エネルギービジョン2020)と合致しており、同町と協業し推進しているプロジェクトです。国内外からの注目度も非常に高く、久米島町での海洋深層水の取水施設や複合利用の更なる拡大計画と並行し、本実証事業の提案に至りました。

当社は、自然エネルギーとしてのポテンシャルの高い海洋再生可能エネルギーの早期商用化に向けて取り組んでいきます。

(註1) 共同提案者であるゼネシスおよび共同研究先である佐賀大学はOTECについて世界トップレベルの技術を有しており、世界の様々なOTECプロジェクトに参画しています。
ゼネシス:http://www.xenesys.com/index.html
佐賀大学:https://www.ioes.saga-u.ac.jp/jp/

(註2) 当社のOTECに関するその他取り組みは以下のプレスリリースをご参照下さい。
2022年7月14日付「モーリシャスにおける海洋温度差発電の実証要件適合性等調査がNEDO事業に採択

【商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、事業を通じて優先的に取り組むべき社会課題として特定した「サステナビリティ課題」への対応を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献します。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Safety & Value -安全輸送・社会インフラ事業を通じた付加価値の提供-」、「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Human & Community -人の活躍と地域社会の発展-」にあたる取り組みです。