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水素生産用の純水製造システム開発が滋賀県の補助対象事業に採択
~洋上風から水素を作り船の推進力に変えるウインドハンタープロジェクトに活用~

2023年08月03日

株式会社商船三井(社長:橋本剛、東京都港区、以下「当社」)が九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門 篠田岳思教授、大洋産業株式会社(社長:小田柿喜暢、滋賀県彦根市)と共同で提案した水素生産用の純水製造システム開発事業が、滋賀県の近未来技術等社会実装推進事業(註1)に採択されました。

【純水製造システムのしくみ】

当社は脱炭素・水素社会の実現に向けて、洋上風エネルギーを利用して船上で水から水素を作り船の推進力に変えるウインドハンタープロジェクト(註2)を進めていますが、水素生産には飲料水よりも高品質な純水が求められます。海水から水素を生産する場合、まず有機物質(炭素含有物、マイクロプラスティック等)、無機物質(鉄分、マグネシウム、ナトリウム)、汚泥等の不純物を除去するためにフィルターを通し、海水を純水化しますが、現在一般的に使用されているフィルターでは、頻繁に交換する必要が生じ、船員の作業が増えることとコスト面で大きな負担となります。

【究極のゼロエミッション船 ‘ウインドハンター’】
(上記よりコンセプト動画をご覧頂けます)

本開発において、3社は以下の役割を担い、今後さらに高い技術が求められる細菌レベルまで除去が可能となる高寿命・高耐久・高性能のフィルターを開発し、純水製造システムを製造します。

<各社の役割>
当社:プロジェクトマネージメント、市場調査、舶用システム設計の知見提供
九州大学:純水製造システムの実証実験設計、高性能フィルター(注3)の開発・適用
大洋産業:RO装置(註4)の開発・適用

本技術をウインドハンタープロジェクトにおける本船上での海水による純水製造に活用して効率的に水素を生産することで、大型ゼロエミッション船の実現がまた一歩近づくことになります。

本開発においては、滋賀県の琵琶湖での実証実験を通じて、海水だけでなく淡水も対象として純水製造システムを設計します。日本最大の湖である琵琶湖の淡水と海水との比較を実施することで、水質の違いによる影響を評価し、汎用性のある純水製造技術を確立します。当社は、ウインドハンタープロジェクトのための純水製造技術を創成するだけでなく、陸上の水素製造基地への純水の提供等への開発技術の転用などを進めます。

当社は、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」において、2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成を掲げています。自社からのGHG排出削減のみならず、本プロジェクトを始めクリーンエネルギーのサプライチェーン構築に積極的に参画することにより、社会のGHG排出削減ならびに脱炭素社会の実現に貢献していきます。

(註1) 詳細は以下をご参照ください。
滋賀県近未来技術等社会実装推進事業補助金について|滋賀県ホームページ (shiga.lg.jp)

(註2) 「ウインドハンタープロジェクト」の詳細については以下をご参照ください。
【当社HP】WIND HUNTER「風と水素で、未来をつくれ。」 | BLUE ACTION MOL | 商船三井
【関連プレスリリース】
2020年11月30日付けプレスリリース
風力と水素を活用したゼロエミッション事業『ウインドハンタープロジェクト』始動!
2021年12月9日付けプレスリリース
風と水素で走る究極のゼロエミッション船「ウインドハンタープロジェクト」佐世保でのヨット“ウインズ丸”による実証実験に成功

(註3) 九州大学大学院工学研究院海洋システム工学部門 篠田岳思教授の開発した高精度海水濾過装置

(註4) RO= Reverse Osmosis(逆浸透法)。水を通しイオンや塩類など水以外の不純物は透過しない性質を持つ膜を用いた装置。


商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Safety & Value 安全輸送・社会インフラ事業を通じた付加価値の提供」、「Environment 海洋・地球環境の保全」、「Human & Community 人の活躍と地域社会の発展」および「Innovation 海の技術を進化させるイノベーション」にあたる取り組みです。

商船三井は大阪・関西万博に協賛し「ウインドハンタープロジェクト」を展示します