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JAMSTECの北極域研究船運航予定事業者に決定

2023年08月10日

株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)と、いずれも当社100%子会社であるエム・オー・エル・シップマネージメント株式会社およびMOLマリン&エンジニアリング株式会社は、国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長:大和 裕幸、本部:神奈川県横須賀市、以下「JAMSTEC」)が発注した、北極域研究船(以下「本船」)(註1)に係る艤装員(註2)派遣事業者および運航予定事業者に選定されました。上記決定は、JAMSTECが実施した「北極域研究船に係る艤装員派遣及び運航業務」の企画提案公募での審査結果に基づくものです。

<北極域研究船イメージ>提供:海洋研究開発機構

本船は、研究船としては日本で初めて砕氷機能を有し、世界レベルの観測機能を備えた国際的な研究プラットフォームとすることを想定し建造が進められています。北極域において大気・気象・海洋・海氷等に関する総合的な観測を実施し、観測データと科学的知見を充実させることで北極域の持続可能な開発・利用・保全の実現に貢献するとともに、研究者や技術者などの人材育成に寄与することを目的としています。

当社は、艤装員派遣事業者および運航予定事業者として選定されたことを受け、2026年11月頃を見込む本船竣工までは艤装員派遣業務を、また本船竣工後は運航業務を担う予定です。

当社グループは、環境保全を始めとした変化する社会のニーズに技術とサービスの進化で挑み、全てのステークホルダーに新たな価値を届けることをグループビジョンとして掲げており、人・社会・地球に新しい価値をもたらす本船の意義に強く共感しています。これまで培ってきた北極海航路運航・LNG燃料取扱等のノウハウや人材を活かし、本船の安全運航と国際的な研究プラットフォームの実現を通じて、より良い地球の未来に貢献します。

当社グループは、経営計画「BLUE ACTION 2035」で環境戦略を主要戦略の一つとして位置付け、「商船三井グループ環境ビジョン2.2」を定めています。気候変動対策だけでなく、海洋環境保全、生物多様性保護、大気汚染防止などの取り組みをグループ一丸となって進めてまいります。

(註1) 本船の概要(出典:JAMSTEC)

  • 主な要目(計画)
    (1)全長:128m
    (2)船幅:23m
    (3)喫水:8m
    (4)国際総トン数:13,000トン
    (5)砕氷能力:平坦1年氷 1.2mを3.0ktの船速で連続砕氷可能
    (6)耐氷能力:ポーラークラス4
    (7)乗員:99名
  • 北極域研究船の主な要件
    (1)大気・気象・海洋・海氷などに関する様々な観測が可能となる機器・設備の搭載
    (2)必要十分な砕氷・耐氷性能と通常海域を含む航行性能を両立するための船型
    (3)海氷域における安全かつ効率的な航行を支援する先進的なシステムの搭載
    (4)デュアルフューエル機関の採用による環境負荷低減、低燃費の工夫
    (5)充実したラボスペース、優れたネットワーク等の世界レベルの研究環境の整備
    (6)十分な定点保持機能と効率的な推進システム
    (7)ROV、AUV等の無人探査機器の運用
    (8)安全確保、海氷等観測用のヘリコプターの運用機能
    (9)国際研究プラットフォームとして、ユニバーサルな居住環境(全個室など)の整備
    (10)豪雨等による自然災害発生時の被災地支援対応

本船特徴・プロジェクト詳細については、以下HP及び動画をご覧ください。
https://www.jamstec.go.jp/parv/j/
https://www.youtube.com/watch?v=EHrg_7KmBZo

(註2) 本船竣工前に造船所へ派遣され、本船の艤装に立ち会い建造仕様書との整合性・品質の確認や不具合箇所の抽出を行う者。派遣される艤装員は、竣工後の本船乗組員を予定。


商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Safety & Value安全輸送・社会インフラ事業を通じた付加価値の提供」、「Environment海洋・地球環境の保全」「Human & Community 人の活躍と地域社会の発展」および「Innovation 海の技術を進化させるイノベーション」にあたる取り組みです。