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本邦初、内航船で廃食油を直接混合したバイオ燃料を用いた運航に成功

2023年11月01日

株式会社商船三井
株式会社商船三井内航

株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)のグループ会社である株式会社商船三井内航(代表取締役社長:小林 洋、本社:東京都港区、以下「商船三井内航」)が運航する499総トン型内航貨物船「第一鐵運丸(船主:鐵運汽船株式会社)」で廃食油を直接重油に混合したバイオ燃料を用いた運航に成功しました。

「第一鐵運丸 499総トン」

今回使用したバイオ燃料は、国内の植物油脂由来の廃食油を、舶用燃料用に直接重油と混合した燃料で、舶用燃料としての使用は国内初の取組みとなります。
本件は国土交通省による、船舶におけるバイオ燃料の利用に関する調査事業の一環として、阪和興業株式会社より中京地区にて本船に供給され、本船貨物の荷主である東京製鐵株式会社の協力の元、三河湾・東京湾間で約1か月の間使用し、燃焼性などに問題がないことを確認しました。

これまでのバイオ燃料の原料は、廃食油とメタノールを化学処理して生成するFAME(Fatty Acid Methyl Ester:脂肪酸メチルエステル)が主な原料でした。今回は一度食用油として使用した後の廃食油をほとんどそのままの形のStrait Vegetable Oil(粗植物油、以下「SVO」)(註1)で、A重油と混合(混合率24%)させ、内航船の汎用船型である499総トン型船(註2)で使用しました。SVOはメチルエステル化処理や水素化処理を行わないため、他のバイオ燃料に比べてより一層の二酸化炭素削減効果と、より低コストでの供給が期待できます。

バイオ燃料は、2023年4月に更新した「環境ビジョン2.2」に於いても、本船の主機等の仕様を変えずに使用することができる有効なクリーン代替燃料の一つと位置付けており、特に新燃料用のタンク等の設備を置くスペースが限られる小型内航船における二酸化炭素削減に向けた有効な手段となり得ます。
今回の内航船での取り組みは2023年6月に実施した液化バイオメタンの舶用利用トライアルに続くもので(註3)、これらの取り組みを通して商船三井グループは海上輸送における低・脱炭素化に貢献していきます。

(註1) 現在舶用燃料油としての利用の可能性があるバイオ燃料油の種類
(出典: 国土交通省の船舶におけるバイオ燃料取り扱いガイドライン)

(註2) 隻数比で100総トン以上の中に占める499総トン以下は62%(出典:国土交通省)。

(註3) 詳細は以下プレスリリースをご参照下さい。
2023年6月21日付「船舶燃料としての液化バイオメタン利用に向けて内航LNG燃料船でのトライアルに成功~貨物海上輸送のネットゼロ・エミッション実現へ~」


商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。