2023年12月22日
株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「当社」)は、三菱重工グループの三菱造船株式会社(社長:北村 徹、本社:神奈川県横浜市、以下「三菱造船」)と開発に取り組んでいるアンモニアFSRU(Floating Storage and Regasification Unit:浮体式貯蔵再ガス化設備、註1)について、一般財団法人日本海事協会(以下「日本海事協会」)から基本設計承認(Approval in Principle:以下、「AiP」)を取得しました。
イメージ:2隻のうち、左がアンモニア輸送船、右がアンモニアFSRU
当社がこれまで取り扱ってきたFSRUは、液化天然ガス(以下「LNG」)の貯蔵と再ガス化設備を備えた浮体設備で、LNGを洋上で受け入れて、再ガス化し、陸上へ送出することができます。陸上に新たに貯蔵タンクや再ガス化設備を建設する場合と比較して、コストを抑え、建設工期を短くできるという利点があります。同様の技術をアンモニアの貯蔵、再ガス化に応用することで、次世代燃料であるアンモニア燃料の普及に寄与することが期待されます。
本AiP取得にあたり、当社は、日本海事協会、三菱造船と共にHAZID(Hazard Identification Study、註2)を実施し、アンモニアFSRU導入の際の初期検討において、リスクおよび今後の設計において検討すべき事項の洗い出しを行いました。また、今回のHAZIDにおいては、ガス拡散解析の結果を用いたことで、リスクをより定量的に評価し、アンモニア漏洩に対する具体的な予防措置や対処方法の絞り込みが可能となりました。当社グループは、これらの知見を活用し、アンモニアFSRUの事業開発をより一層推進して参ります。
当社グループは、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」において「2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成」を中長期目標として掲げています。また、グループ経営計画「BLUE ACTION 2035」に沿って、高リターンを期待する市況享受型事業に継続投資する一方、海運不況時にも黒字確保を実現するため事業ポートフォリオ変革の一環として海洋事業を含む非海運事業の強化を進めており、FSRU事業はそれにも合致する取り組みです。
当社グループは、今後も海運業を中心に様々な社会インフラ事業を展開し、環境保全を始めとした変化する社会のニーズに技術とサービスの進化で挑みます。
(註1) 2022年2月3日付当社プレスリリース「アンモニアFSRUのコンセプトスタディを完了~洋上でアンモニアを貯蔵・再ガス化、脱炭素エネルギーとしての利活用を促進~」をご参照下さい。
(註2) システムの潜在的危険についてその危険の大きさと発生頻度を専門家間で討議し、システム全体として十分な安全性を持つようにするリスク評価・管理手法。
商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Safety & Value -安全輸送・社会インフラ事業を通じた付加価値の提供-」、「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。