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モーリシャスにおける海洋温度差発電の事業化に向け、新たなフェーズへ
~経済産業省事業に採択、海洋再生可能エネルギーの早期実用化を目指す~

2024年01月15日

株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「当社」)が取り組む、モーリシャスにおける海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion、以下「OTEC」)の事業化のための「海洋深層水複合利用モデルの実現可能性調査」の一環としての「取水管設置概略検討」等が、経済産業省(以下「METI」)の委託事業(令和5年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業)に採択されました。

当社は沖縄県海洋温度差発電実証試験設備の運営にも参画しており(註1)、それを通じて得た知見やノウハウも活かし、
モーリシャスでのOTEC事業化検証を進めます。
写真:沖縄県海洋温度差発電実証試験設備(久米島町)

当社は、2022年5月から2023年5月にかけ、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より受託した「モーリシャスにおける海洋温度差発電を核とした海洋深層水複合利用に関する実証要件適合性等調査」(註2)の中で、モーリシャス側開発主体の実行力、OTEC設備の設置条件等のレビューを実施し、候補地を絞り込み、同国の南南西部を適地として選定しました。

次のステップとして行う、その適地に取水管を設置する際の様々な条件を調査・分析し、候補地の妥当性を検証することが、この度METIに採択された調査事業の主な内容となります。

OTECは、海面における表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組みで、水深600m以深の海域から海洋深層水を汲み上げ、表層水との温度差でエネルギーを取り出すものです。気象に左右されないため、安定的に発電量を予測できることが特徴です。さらに、発電で使用した海洋深層水は、水質も変化しないため、水産や農業、空調利用など、様々な分野で二次利用することができ、持続可能な発電システムとして注目されています。

モーリシャスは、インド洋の熱帯地域に属するという地の利を十分に活用できることのみならず、2030年までに再生可能エネルギーの割合を60%まで引き上げるロードマップを策定し、OTECの導入に向けた実証プロジェクトを国家予算計画に含める等、国家戦略的にもOTEC導入に向けた下地があります。
尚、本調査事業は、気候技術センター・ネットワーク(Climate Technology Centre & Network:CTCN、註3)や緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF、註4)の活用も検討することで、より確実で効果的なモーリシャス支援に繋がることが期待されます。

当社がこれまで海洋事業を通じて培った知見やノウハウ、およびサプライチェーンのネットワークを活用することで、モーリシャスをはじめ国内外においてOTECを早期に事業化することを目指します。

(註1) 詳細は、2023年3月24日付当社プレスリリース「沖縄県久米島における海洋温度差発電の実証事業が環境省事業に採択」をご参照下さい。

(註2) 詳細は、2022年7月14日付当社プレスリリース「モーリシャスにおける海洋温度差発電の実証要件適合性等調査がNEDO事業に採択~沖縄県久米島での実証設備運営への参画に加え、海洋再生可能エネルギーの早期実用化を目指す~」をご参照下さい。

(註3) 気候変動に係る技術移転を促進するための実施機関として、COP16(2010年)にて設立が決定され、2013年より稼働・サービスの提供を開始。開発途上国からのリクエストに基づき、各国のニーズに沿った支援を行う。

(註4) 開発途上国の温室効果ガス削減(緩和)と気候変動の影響への対処(適応)を支援するため、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)に基づく資金供与の制度の運営を委託された基金。


商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題 (マテリアリティ)」を特定しています。 本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Safety & Value -安全輸送・社会インフラ事業を通じた付加価値の提供-」、「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Human & Community -人の活躍と地域社会の発展-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。