2025年09月02日
商船三井グループの100%子会社で脱炭素技術への投資を目的とするMOL Switch LLC(代表:一田 朋聡、本社:米国カリフォルニア州、読み:エム・オー・エル・スウィッチ、以下「MOL Switch」註1)はフュージョン(核融合)(註2)関連企業である米国Commonwealth Fusion Systems LLC(代表:Bob Mumgaard、本社:米国マサチューセッツ州、読み:コモンウェルス・フュージョン・システムズ、以下「CFS社」)に日本企業12社(註3)で構成するコンソーシアム各社と連携する形で出資しました。
CFS社は、磁場閉じ込め方式(トカマク型)(註4)によるフュージョンエネルギー発電炉の設計・開発を進める、業界のリーディングカンパニーです。同社は、世界初となる商業用フュージョンエネルギー発電炉「ARC(アーク)」を米国バージニア州に建設する計画を発表しており、2030年代前半の運転開始を目指しています。
日本コンソーシアムは、CFS社が米国で推進する商用化プロジェクトから、政策・規制、ARCの開発・建設・運転・保守に係る技術的・商業的な知見を獲得します。更に、各社が有するノウハウや専門性を持ち寄り、日本におけるフュージョンエネルギー発電の早期商用化・産業化を目指します。日本コンソーシアムとCFS社の連携は、日米両国によるフュージョンエネルギー発電の開発と商業化を加速するための共同パートナーシップに沿うものであり、両国における商業化の早期実現に向けた強い意志と機運の高まりを体現しています。
商船三井グループは経営計画「BLUE ACTION 2035」において社会インフラ企業を目指し、非海運分野の強化および、積極的な投資を計画しています。さらに「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」において、2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成を目標に定めています。CFS社への出資参画を通じて、関連産業を含むステークホルダーとの協業を推進し、フュージョンエネルギー発電の早期実現と産業化に取り組みます。脱炭素社会の実現に向けて、水素・アンモニアなどのクリーン燃料製造に必要な電力をフュージョンエネルギー発電等で安定的に確保し、クリーンエネルギーの普及・拡大に貢献していきます。
【出資先概要】
企業名 | Commonwealth Fusion Systems LLC |
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所在地 | 米国マサチューセッツ州 |
設立年 | 2018年 |
代表者 | Bob Mumgaard(CEO) |
会社ホームページ | https://cfs.energy/ |
(註1)「MOL Switch」については、2023年5月31日付プレスリリース「脱炭素技術への投資を目的とした新会社「MOL Switch」を米国に設立」をご参照ください。
(註2)フュージョン(核融合)は、核分裂とは根本的に異なる技術であり、大きな圧力と高い温度において水素原子同士が結合することで、膨大なエネルギーが放出されます。また、海水から燃料を取り出せるため、事実上無尽蔵の燃料が地上に存在し、温室効果ガスを排出しないことからエネルギー問題と環境問題を根本的に解決する可能性を秘めるエネルギーです。
(註3)コンソーシアムに参画している当社以外の日本企業:三井物産株式会社、三菱商事株式会社、関西電力株式会社、株式会社JERA、日揮株式会社、株式会社日本政策投資銀行、NTT株式会社、株式会社フジクラ、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、三井不動産株式会社
(註4)ドーナツ状(トーラス)の形状で、強力な磁場を使って超高温プラズマを閉じ込める核融合装置の型式
商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題(マテリアリティ)」を特定しています。本件は、5つのサステナビリティ課題の中でも特に「Environment -海洋・地球環境の保全-」、「Innovation -海の技術を進化させるイノベーション-」にあたる取り組みです。