2026年04月22日
株式会社商船三井(社長:田村 城太郎、本社:東京都港区、以下「当社」)は、ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置、註1)を3基搭載した液化CO2輸送船(註2)(以下「本船型」)について、一般財団法人日本海事協会(以下「ClassNK」)から、基本設計承認(註3)(Approval in Principle:以下「AiP」)を2026年4月14日に取得しました。本船型は、サムスン重工業株式会社(本社:韓国・ソウル、以下「SHI」)と共同で開発を進めた液化CO2輸送船であり、液化CO2の国際輸送において風力活用による燃料消費量および温室効果ガス(以下「GHG」)排出量の低減を目指しています。

なお、本AiPの授与記念式典が、2026年4月22日に東京ビッグサイトで開催された「Sea Japan 2026」会場内のClassNKブースにて実施されました。

本船型は、液化CO2の国際輸送を想定した貨物槽容積40,000 m3の液化CO2輸送船にウインドチャレンジャーを3基搭載する設計としています。本船型は操船設備や居住区を船の前方にまとめることで操船に必要な視界を確保し、3基のウインドチャレンジャーを搭載可能な構造としました。風の力でエンジンを補助することで、燃料消費量やGHGの排出削減が期待されます。
さらに、本船型はエンジンルームへのアクセスや航海灯、救命艇の配置など、安全性に配慮した設計としており、SHIおよびClassNKと連携しリスクアセスメント(HAZID;Hazard Identification Study、註4)を実施し、風力推進装置を搭載した液化CO2輸送船特有のリスクを洗い出し、評価しました。ウインドチャレンジャーは、伸縮・回転が可能な硬翼帆を自動制御することで、安全な航海を維持しながら風力を推進力として活用し、燃料消費量およびGHG排出量の削減に寄与する技術です。
本技術を液化CO2輸送船に適用することで、CCS(Carbon Capture and Storage)バリューチェーンにおけるCO2輸送プロセスにおいて排出されるGHGを削減し、更なる環境負荷低減に貢献します。

当社は、当社グループの中長期目標である「環境ビジョン~BLUE ACTION 2035 Phase 2~」において「2050年までのネットゼロ・エミッション達成」を掲げています。当社はウインドチャレンジャー搭載船の船隊規模を2030年までに25隻、2035年までに80隻へ拡大することを計画しており、既に3隻が竣工済み、また2026年に竣工が予定されているLNG船2隻(註5)を含む8隻への搭載が決定しています(註6)。本船型の開発は、CCSを通じた社会全体の脱炭素化と、燃料消費量・GHG排出削減を両立させる取り組みであり、ネットゼロ・エミッション達成に向けた重要なステップと位置づけています。
当社は、ウインドチャレンジャーを始めとした風力推進技術の開発に取り組んでおり(註7)、環境対応船隊の安全な管理・効率運航を通じて、自社グループのみならず社会全体の低・脱炭素化に貢献してまいります。
<本船概要>
| 全長/全幅 | 約224m / 35.2m |
|---|---|
| AiP発行船級 | ClassNK |
| 貨物槽容積 | 40,000 m3 |
| ウインドチャレンジャー仕様 | 基数:3基 高さ:最大約49m(3段式) 幅:約15m 帆の材質:繊維強化プラスチック |
(註1) 詳しくは、風力補助推進システム「ウインドチャレンジャー」 | サービス | 商船三井(MOL) Solutions(mol-service.com)をご参照ください。
(註2) 低温かつ加圧状態で液化されたCO2を効率よく海上輸送することを目的とした船舶。本船型は発電所や工場などから排出されたCO2を回収・液化し、CO2の貯留サイトへ大量輸送することを目的としています。
(註3) 船や設備の設計について、「コンセプト段階で技術的に成立し、安全面・規則面で大きな問題がない」ことを、船級協会が確認する初期承認。
(註4) HAZID(Hazard Identification Study):システムの潜在的危険性についてその大きさと発生頻度を専門家間で討議し、システム全体として十分な安全性を持つようにするリスク評価・管理手法。
(註5) 現在、Chevron Shipping Company、東京エルエヌジータンカー株式会社(東京ガス株式会社100%出資子会社)向けに建造中です。(世界初、商船三井とChevronがLNG運搬船にウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を搭載 | 商船三井、東京ガス向け新造LNG運搬船にウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を搭載 | 商船三井)
(註6) 本船型は、ウインドチャレンジャーの搭載が決定している8隻には含まれません。
(註7) 詳しくは、ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)4基を搭載した新船型LNG船での基本設計承認(AiP)を取得 ~HHI・SHIそれぞれとの共同開発~ | 商船三井をご参照ください。
商船三井グループのサステナビリティ課題
商船三井グループでは、グループビジョンの実現を通じて社会と共に持続的な発展を目指すための重要課題として「サステナビリティ課題(マテリアリティ)」を特定しています。本件は、サステナビリティ課題の中でも特に「環境」にあたる取り組みです。



