サステナビリティ経営

サステナビリティ経営の基本的な考え方

商船三井グループのサステナビリティ経営は、長期的な戦略に基づき、社会及び当社グループの持続的な成長を目指すものです。2035年のありたい姿であるグループビジョンでは、グローバルな社会インフラ企業への飛躍を謳っており、その実現に向けたグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」に取り組んでいます。企業理念と行動規範「MOL CHARTS」の精神に沿って「BLUE ACTION 2035」に取り組み、経済価値と社会価値を共に創出していくことで、すべてのステークホルダーへの提供価値を最大化していきます。当社グループが創出する経済価値については、BLUE ACTION 2035で定める財務Core KPIにて主要な成果を測定・管理し、社会価値については「暮らしと産業を支えるインフラの提供 」「持続可能な海洋・地球環境の実現」「ウェルビーイングの向上」の3つに整理しています。

2026年度より開始した「BLUE ACTION 2035」のPhase2では、事業にかかる3つの主要戦略(ポートフォリオ戦略、地域戦略、環境戦略)に加え、それらを支える経営基盤としてサステナビリティ課題(マテリアリティ)である「環境」「安全」「人財」「DX」と企業の恒久的なテーマであるガバナンスに注力します。

BLUE ACTION 2035の全体像
BLUE ACTION 2035全体像の図
BLUE ACTION 2035の見取り図

サステナビリティ推進体制

当社グループは、サステナビリティ経営をグループ全体で推進すべく、代表取締役社長(CEO)を最高責任者としたマネジメント体制を構築しています。サステナビリティ経営における重要分野については、主に経営会議の下部機構である各委員会(サステナビリティ委員会、BLUE ACTION 委員会、投資戦略委員会、安全・品質推進委員会、HCアクション委員会、コンプライアンス委員会)にて審議しています。取締役会はサステナビリティに関するすべての取り組みへの監督責任を負い、特に重要な方針・戦略等の事項は、経営会議及び各委員会で審議後、取締役会での決議を経て決定します。


サステナビリティ委員会

月1回程度の頻度で開催される部門横断的な組織であり、当社グループのサステナビリティ戦略(マテリアリティの特定・見直し、サステナビリティ計画の立案・進捗確認等)を中心に、環境、人権、バリューチェーンマネジメント、社会貢献活動等の取り組みについて審議を行います。

サステナビリティ委員会 2025年度 主な議題
  • 環境ビジョン、安全ビジョン、Human Capitalビジョン、DXビジョンの見直しの方向性
  • IMO Net-Zero Frameworkの動向を踏まえた環境戦略の検討
  • TNFDに基づく情報開示
  • 社会貢献活動

サステナビリティ討議

取締役会では、一般的な決議・報告事項とは別に、サステナビリティに関する討議も行います。これは、サステナビリティ経営の方針・戦略の見直しにおける取締役会の関与を強化することを企図しています。2024年度は、マテリアリティの見直しや脱炭素の長期移行シナリオ、人権の取り組み等について、議論しました。


アドバイザリーボード

事業環境が急速に変化する中、グループとしての成長と企業価値向上を持続するためには、世界情勢・社会の価値観・テクノロジーの変化に適切に対応し、戦略的に事業ポートフォリオの最適なバランスをとっていくことが重要と考えています。そこで、経営戦略の更新・改善及びリスク管理の観点から優先度の高い分野について意見を得ることを目的に、外部有識者で構成されるアドバイザリーボードを社長のもとに設置しています。


サステナビリティ課題(マテリアリティ)

グループビジョンの実現を通じて、社会と共に持続的な発展を目指すための当社グループの重要課題を「サステナビリティ課題」(マテリアリティ)として特定しています。
2019年度に初めて特定して以降、外部・内部環境の変化を考慮した定期的な見直しを行ってきました。2026年度より以下4つの課題をマテリアリティに整理をしています。2026年度の改定は、経営計画「BLUE ACTION 2035」Phase2の策定と並行して実施し、当社グループが注力する領域を明確に示すために、経済価値と社会価値両方の創出に貢献する課題を中心に特定しました。4つの課題それぞれに目標・KPI・アクションを設定し、課題の解決に向けた進捗管理を実施しています。
サステナビリティ課題の内容は、2026年3月の取締役会にて承認を受けています。また、取締役会にて取り組み状況の監督も実施しながら、今後も毎年マテリアリティの見直しの要否を確認し、環境変化に応じて見直しを実施してまいります。

マテリアリティ 重点テーマ 主要な目標・KPI アクション 貢献するSDGs
気候変動
海洋環境
  • GHG排出量 2050年 ネット・ゼロ達成
  • GHG排出原単位 2035年 ▲45%
  • ネットゼロ・エミッション外航船 2020年代中に運航開始
環境ビジョン」ページを参照
人命
海洋環境
安定操業
  • 労災死亡事故 0
  • 重大事故 0
  • LTIF
  • 運航停止発生率
安全ビジョン」ページを参照
多様性
共走・共創
働き甲斐
  • MGKP在任者構成率
    -女性:2035年 20%
    -非本社出身者:2035年 40%
  • MGKP候補者準備率 2035年 150%
  • (単体)陸上女性管理職比率 2035年 30%
  • グループ全体のエンゲージメントのKPIスコアの向上した組織の割合 2035年 80%
Human Capitalビジョン」ページを参照
IT・デジタル基盤
生産性・安全性
事業変革
  • 価値創造業務のための時間創出率 2035年 ▲30%
DXビジョン」ページを参照

特定プロセス

2026年から開始した経営計画「BLUE ACTION 2035」のPhase2に合わせて、以下のステップでマテリアリティの見直しを実施しました。

STEP1マテリアリティ候補テーマの洗い出し

欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)をベースとし、他の国際的なサステナビリティ情報開示に関するガイドライン等を参照しながら、マテリアリティの候補テーマを洗い出しました。

<参考にしたガイドライン>

  • 欧州サステナビリティ報告基準
  • SASBスタンダード
  • SDGs
  • Stakeholder Capitalism Metrics
STEP2ダブルマテリアリティ評価
ダブルマテリアリティの考え方を採用し、STEP1で洗い出したマテリアリティ候補テーマに関連するインパクト・リスク・機会の評価を実施しました。
インパクト・リスク・機会の評価にあたっては欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)で定められる評価方法を用い、インパクトは深刻度(規模、範囲、回復困難性)と発生可能性を、リスク・機会は潜在的な財務的影響の規模と発生可能性を掛け合わせました。
STEP3ステークホルダー及び自社目線での評価

STEP2で閾値を超えたインパクト・リスク・機会の候補テーマを、ステークホルダー及び自社にとっての重要性の観点より優先順位付けを行いました。
ステークホルダー軸については、投資家・株主、顧客、取引先、従業員、NPO・NGOとのこれまでのエンゲージメントの記録を参照するとともに、投資家・株主には別途ヒアリングやアンケートを実施し、重要性を評価しました。
自社軸については、企業理念・グループビジョン、創出する社会価値、事業戦略、当社グループの強みとの関連性が高いものという観点より、重要性を評価しました。
また、アドバイザリーボードのメンバーにも評価の妥当性を確認しています。

STEP4マテリアリティの再設定(特定したテーマの整理)

STEP3にてステークホルダー・自社軸で共に閾値を超えたテーマを整理し、「環境」「安全」「人財」「DX」の4つの課題に整理しました。
課題ごとのインパクト・リスク・機会に関する認識は下表のとおりです。

マテリアリティ 重点テーマ IROの認識 IROの内容 時間軸*1 関連事業*2 関連するESRS
トピック
環境 気候変動 インパクト
(ネガティブ)
1 船舶燃料の燃焼に伴うGHG多排出による気候変動の加速 短~長期 海運 E1 気候変動の緩和、エネルギー
リスク 2 環境規制対応のための設備投資による支出の増加 短・中期 海運
リスク 3 環境規制違反による罰則、課税、レピュテーション棄損による支出の増加 短・中期 海運
リスク 4 脱炭素化の進展に伴う化石燃料等のGHG多排出資源の需要減少による収益の悪化 短~長期 海運
機会 5 低・脱炭素技術の導入による競争力強化及び、それによる収益の増加 短・中期 海運、エネルギーインフラ
機会 6 クリーンエネルギーの普及等の低・脱炭素技術や燃料の需要を先読みした事業展開による収益の増加 中・長期 海運、エネルギーインフラ
機会 7 省エネ機器の導入や運航最適化等の燃費効率の改善による支出の減少 短・中期 海運
海洋環境 インパクト
(ネガティブ)
8 座礁や衝突事故により燃料・貨物が海洋へ流出した際の、周辺海域の生態系や沿岸地域の漁業・観光業へ悪影響を及ぼす可能性 短~長期 海運、エネルギーインフラ E2 水質汚染
E3 海洋資源
リスク 9 油濁事故等を起因とした環境規制違反の罰則、レピュテーション棄損による支出の増加 短期 海運、エネルギーインフラ
安全 人命 インパクト
(ネガティブ)
10 従業員及びバリューチェーン上のビジネスパートナーの生命・健康への被害 短期 海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー S1 労働条件
S2 労働条件
リスク 11 従業員及びビジネスパートナーの生命・健康被害による罰則、訴訟、レピュテーション棄損による支出の増加 短期 海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー
リスク 12 安全な労働環境の整備不足を理由とした人財の流出、医療費の支払等による支出の増加 短期 海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー
海洋環境 インパクト
(ネガティブ)
13 9を参照 同左 同左 同左
リスク 14 10を参照 同左 同左
安定操業 リスク 15 重大事故の発生による罰金、訴訟、レピュテーション棄損による支出の増加 短期 海運、クルーズ・フェリー S4 消費者やエンドユーザーの個人的な安全
機会 16 継続的な安全品質の維持・向上と、低・脱炭素技術等と新技術導入にかかる安全性の担保による競争力強化及び、それによる収益の増加 短~長期 海運
人財 多様性 機会 17 多様な人財確保による生産性の向上と多様な視点を活用した事業機会の拡大、それによる収益の増加 短~長期 海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他 S1 労働条件、すべての人への平等な待遇と機会の提供
S2 労働条件、すべての人への平等な待遇と機会の提供
共走・共創 機会 18 イノベーションを加速させる人財の獲得・育成・維持と適切な活用による事業機会の拡大、それによる収益の増加 短・中期 海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他
働き甲斐 機会 19 働き甲斐の向上による生産性の向上及び人財の定着、それによる支出の減少と収益の増加 短・中期 海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他
DX IT・デジタル基盤 生産性・安全性 事業変革 機会 20 先端的なテクノロジーの導入による効率運航の深度化と、それによる気候変動の緩和 短~長期 海運 E1 気候変動の緩和、エネルギー
機会 21 テクノロジーの進化に応じた業務効率の改善や安全性向上による収益の増加 短~長期 海運、エネルギーインフラ、港湾・ロジ、クルーズ・フェリー、不動産、関連事業・その他 S1 労働条件
S2 労働条件
S4 消費者やエンドユーザーの個人的な安全
  • *1 2025年を起点として短期を1年以内、中期を5年以内、長期を5年超として分析しています。
  • *2 当社グループの事業を「海運」「エネルギーインフラ」「港湾・ロジ」「クルーズ・フェリー」「不動産」「関連事業・その他」 に分類して分析しています。

サステナビリティ計画「MOL Sustainability Plan」

2025年度以前は「MOL Sustainability Plan」を運用し、マテリアリティに紐づく目標・KPI・アクションプランの進捗管理を実施していました。2026年度からは、環境ビジョン、安全ビジョン、Human Capitalビジョン、DXビジョンの中で進捗管理を実施しています。