2019年06月24日
株式会社商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)は、香港で計画されている洋上LNG受入基地向け(註1)に、FSRU(註2)1隻の長期傭船契約及び洋上の固定桟橋の長期保守操業契約を締結しました(註3)。2017年に韓国の大宇造船海洋で竣工した世界最大のFSRU「MOL FSRU Challenger」(以下「本船」)を投入します。香港は歴史的に商船三井の海外重要拠点であり、同地において長年培った地場の強固なネットワークを活かし、本プロジェクトに参画しました。
本プロジェクトは、香港政庁が大気汚染を含む環境改善を目的に発電燃料の約半分を天然ガス化する政策の実現に向けて計画する香港初のLNG受入プロジェクトです。洋上LNG受入基地は2021年操業開始(予定)に向け香港南海上(ソコ群島東方)に建設され、新界地区にあるブラックポイント火力発電所、及びラマ島にあるラマ火力発電所の2カ所に天然ガスを供給します。
また、商船三井はRoyal Vopak N.V(註4)(社長:エルコ・ホークストラ、本社:オランダ、以下「Vopak社」)と桟橋の長期保守操業に関する契約を締結しました。Vopak社はタンクターミナル運営の世界最大手であり、Vopak社の世界的な実績を活かし、本プロジェクトの桟橋の長期保守操業体制構築を進めます。
なお本船は、2017年から2020年までの期間はトルコ国営ガスパイプライン会社ボタスが運営する地中海岸ドルチェルのLNG受入基地にて供用されています。
商船三井は、経営計画「ローリングプラン2019」において、海洋事業を中心に強みを発揮できる分野への経営資源の重点投入を経営方針の一つとして掲げています。商船三井は2009年に2隻のFSRU(Neptune及びCape Ann)の保有・貸船事業を開始して以来、2017年からトルコに於ける本船の操業実績を積み、今後はインド・グジャラート州のLNG受入ターミナル建設・運営プロジェクト、インドネシア・IPP事業向けFSRU事業及びドイツにおける洋上LNG受入基地の事業化にも関与をする予定(註5)です。世界最大のLNG船事業者及び本邦企業として唯一のFSRUの保有・運営会社として、LNGの多様な調達を指向するお客様のニーズに沿ったFSRU事業を推進していきます。
(註1)香港地場電力会社であるCLP Power Hong Kong Limited子会社のCastle Peak Power Company Limited(「CAPCO」)と同じく地場電力企業であるThe Hongkong Electric Company, Limited(「HKE」)がHong Kong LNG Terminal Limited社を共同設立し、ターミナル桟橋及び海底パイプライン新設・保有並びにFSRU 傭船を行う。
(註2)Floating Storage and Regasification Unitの略。浮体式LNG貯蔵再ガス化設備。洋上でLNGを再気化し、陸上パイプラインへ高圧ガスを送出する能力を持つ。
(註3)本プロジェクトの経緯については、以下の当社プレスリリースをご参照ください。
2018年6月25日付プレスリリース「香港洋上LNG受入基地向けに「MOL FSRU Challenger」の長期傭船契約を基本合意」
(註4)Vopak社は、オランダに本社を置く石油化学品等の独立系タンクターミナル運営会社の世界最大手。世界の主要戦略拠点を結ぶタンクターミナルのグローバルネットワークを構築・運営しています。
(註5)詳細は以下プレスリリースをご参照ください。
2017年9月1日付プレスリリース「インドにおける浮体式LNG受入ターミナルプロジェクトに参画 ~FSRUの保守操業、FSUの提供・保守操業、及び運営ターミナルへ出資 ~」
2017年9月29日付プレスリリース「世界最大のFSRU “MOL FSRU CHALLENGER”と命名 ~本邦船社として初めて、単独での建造・保有・操業を担う~」
2018年12月7日付プレスリリース「インドネシア・ジャワ1ガス焚き複合火力発電プロジェクトにおけるFSRU建造・保有・操業に参画 ~ノウハウを駆使し、FSRUを用いたGas-to-Powerプロジェクトとしてはアジア初の案件受注~」
2018年12月18日付プレスリリース「ユニパー社とドイツにおける洋上LNG受入基地に関する覚書、及びLNG輸送契約を締結 ~ドイツ初のLNG洋上受入基地の共同検討を開始~」
【本船概要】
全長 | 345.00メートル |
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全幅 | 55.00メートル |
LNG貯蔵能力 | 263,000立方メートル |