トップページ > プレスリリース 2020年 > ロシア・Arctic LNG 2プロジェクト向け新造砕氷LNG船3隻の定期傭船契約を締結 ~ヤマルLNGプロジェクトに続き、北極海航路関連事業への参画決定、北極海航路東回り通年航行の実現へ~

ロシア・Arctic LNG 2プロジェクト向け新造砕氷LNG船3隻の定期傭船契約を締結
~ヤマルLNGプロジェクトに続き、北極海航路関連事業への参画決定、北極海航路東回り通年航行の実現へ~

2020年11月02日

商船三井(社長:池田潤一郎、本社:東京都港区、以下「商船三井」)は、10月28日、商船三井100%出資子会社を通じて、PAO NOVATEK(本社:ロシア、以下「NOVATEK」)を筆頭株主とするプロジェクト会社LLC ARCTIC LNG 2 社(註1)と、ロシア・Arctic LNG 2プロジェクト向け輸送に参画することを合意し、新造砕氷LNG船(以下、本船)3隻の定期傭船契約を締結しました。
本船3隻は、大宇造船海洋株式会社(本社:韓国、以下「DSME」)にて建造され、2023年に順次竣工する予定です。

本船は、主にロシア北極圏・ギダン半島のLNG出荷基地から、北極海航路を経由して、カムチャッカ(東回り)やムルマンスク(西回り)に積替基地として設置されるFSU(浮体式LNG貯蔵設備)までの輸送に従事する予定です(註2)。本船は、氷が薄い夏季にのみ東回りで北極海を航行できた当社従来の砕氷LNG船と比較して、船幅が細く、砕氷性能を強化した新船型を導入しており、推進機関出力を強化した仕様により、夏季に限らず冬季においても北極海航路の中でも氷が厚くなる東側を航行することが可能となります。

東西のFSUまでの輸送を通年で可能にする本船と、FSUからの輸送を行う在来LNG船の組み合わせにより、年間を通じて、ロシア北極圏からアジアを含む最終需要地まで効率的なLNG輸送を実現します。ロシア北極圏から北極海航路を東回りでアジアに輸送した場合、西回りでスエズ運河経由輸送した場合と比べて航海距離を約65%短縮でき、温室効果ガスの排出削減に寄与します。

商船三井は、2018年3月からロシア・ヤマルLNGプロジェクト(註3)向けに砕氷LNG船3隻が北極海航路での輸送に従事しています。本件は、商船三井がその中で培ってきた、北極海航路での輸送実績および技術的知見、ならびに蓄積したリソースのシナジーが高く評価され、契約締結に至ったものです。本プロジェクトは、今期経営計画「ローリングプラン2020」にて掲げる「強み分野への経営資源の重点投入」の一環です。
商船三井は、拡大する世界のエネルギー需要に応えるため、多様化するLNG輸送に積極的に挑戦していくとともに、北極海航路のパイオニア企業として同航路のさらなる発展に貢献していきます。

LNG輸送とLNG積替基地の全体像

【新造砕氷LNG船の概要】

主要寸法 全長 300m、幅 47m
船型 172,500m3メンブレン型
アイスクラス/寒冷地対応 ロシア船級 ARC7 / -52℃を想定した寒冷地仕様
砕氷航行能力 最大砕氷能力2.1m (前進・後進時)
* ヤマル向け砕氷LNG船と比較して砕氷に特化した船型形状を採用。推進機関出力も強化しており、前進・後進ともに砕氷航行能力を大幅にアップグレード。
造船所 Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering Co., Ltd.
砕氷仕様概要 前後進ダブルアクティングシステム、砕氷補強船殻、船首砕氷バウ形状、船尾3軸PODプロペラ、砕氷塗料、機関室完全ダブルハル構造・左右分離構造、アイスシーチェスト、二重操船ステーション、極海仕様操船設備(アイスレーダー等)
寒冷地仕様概要 電動駆動甲板機器、屋根付き係船区画、ヒートトレース、蒸気解氷システム、3系統暖房システム、サウナ、温水プール、極海仕様救命設備、等
本船イメージ図

(註1) ARCTIC LNG 2
NOVATEK 60%、Total 10%、中国石油天然気集団(CNPC) 10%、中国海洋石油集団(CNOOC )10%、Japan Arctic LNG B.V.(三井物産が25%、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構が75%を出資するオランダ法人) 10%出資によるロシア法人。

(註2) 詳細は以下プレスリリースをご参照ください。
2019年9月27日付
カムチャッカ及びムルマンスクでのLNG積替基地案件に関して商船三井・JBIC・NOVATEKの3社間で覚書を締結

(註3) 詳細は以下プレスリリースをご参照ください。
- 2014年7月9日付
ロシア・ヤマルLNGプロジェクト向け新造LNG船3隻の造船契約を締結 ~ 世界初の砕氷LNG船によるLNG輸送プロジェクトに参画、北極海航路の商業運航を実施 ~
- 2018年3月29日付
ロシア・ヤマルLNGプロジェクト向け砕氷LNG船“VLADIMIR RUSANOV”が積地サベッタ港で初荷役を実施 ~ 世界初の砕氷LNG船プロジェクト 当社第一船のオペレーションを開始 ~
- 2020年7月27日付
砕氷LNG船が日本に初入港 ~ロシア「最果ての地(ヤマル)」から北極海航路を経て日本へ~