BLUE ACTION 012 DarWINプロジェクト 進化とは、
小さな改善の積み重ねだ。

問題を考えるとき、私たちは大きなイノベーションに注目しがちだ。けれど、それが「使える技術」になるまでには時間がかかる。その間にも環境は変動しつづけており、状況は待ったなし。だからこそ商船三井は今できるすべてに全力を注ぐ。その象徴的な取り組みが、船舶の推進やエネルギー消費を改善して効率オペレーション実現をめざすプロジェクト「DarWIN（Digital Approach to Reduce GHG With Integrated Network）」だ。

DarWINは無数の取り組みからなる。減速運航に適した省エネ型プロペラへの換装、PBCFを代表とするプロペラ推進力を高めるバルブやフィンの設置、その他大小様々な省エネ装置を搭載して船を「省エネスペック」に変える。それだけではない。低燃費・環境対応型塗料の採用やクリーニングといった、従来からあるコンディション維持のための施策も体系的に管理する。さらには最適な航路・速度・姿勢といった運航の最適化にまで取り組みを深めている。あらゆる角度から、環境負荷を減らす取り組みを力強く進める。ひとつひとつの改善は小さくとも、重なり合うことでこれまで想像していなかった大きなインパクトになるからだ。

そしてその効果を可視化するのが、約900隻の航海データをビッグデータとして活用する商船三井独自のシステム「FOCUS」。新造船だけでなく既存船にも最新のデータ収集装置を追加搭載。詳細な航海・機関データをリアルタイムで収集し、運航の最適化を図る仕組みだ。これらのデータを利活用するための組織として、フィリピンにEcoMOL Inc.を設立。全世界を航行するグループ船の運航データからスピード・燃費・エンジン負荷などのパフォーマンスを分析し、現場にフィードバックすることでさらなる効率運航をめざす。こうしたデジタル技術がDarWINを支えている。

最新鋭の船をつくることだけが環境への貢献ではない。すでに動いている船を今ある知見と技術で進化させることも、同じように重要なアクション。ひとつひとつの効率向上は小さくても、それが積み重なれば未来を変えられると商船三井は信じている。DarWINプロジェクトとは、進化を着実に前へ進めていくという私たちの意思表示だ。